2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の開催までついに100日となった。各パビリオンでは、建設が最終段階に入り、展示内容の調整も着々と進む。今回、会場の様子を日経BANPAKUレポーターの学生2人が訪れ、「シグネチャーパビリオン『いのちめぐる冒険』(河森正治プロデューサー)」「静けさの森」「大阪ヘルスケアパビリオン」などを見学。実際のパビリオンを前に目を輝かせた。
河森作品の最高傑作に
若月 今日は建設が大詰めを迎えている万博会場を見学できるということでワクワクしています!
岡本 BANPAKUレポーターとして企業や団体への取材経験はありますが、会場は初めて。実際の館に入って、展示内容もご紹介いただけるので楽しみです。
若月 まずは、「いのちめぐる冒険」パビリオンにやってきました。博覧会協会で「いのちめぐる冒険」パビリオンご担当のアミさん、パビリオンの総合監理をされている阿尻さんにお話を伺います。
アミ シグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」は、『いのちは合体・変形だ!』をコンセプトに、宇宙・海洋・大地がつながり合い、生命が循環し続ける仕組みを体感できる壮大な展示プログラムをご用意しています。また〝セル(Cell:細胞)〟を積み上げたような外観が特徴で、外壁パネルの一部には大阪湾の海水100%の海水練りコンクリートパネルが採用されています。地球上に豊富にある海水を使うサステナブルな技術ということで注目されています。
阿尻 本館の目玉「超時空シアター」では、河森が描く生命の輝き・循環の世界へ、ヘッドマウントディスプレーを使い拡張現実(AR)と複合現実(MR)を駆使した没入体験ができます。個人的には、これまでの河森作品の中でも最高傑作になるのではと思うほど、素晴らしいコンテンツに仕上がっていますよ。
若月 内装もほぼ完成していたので、本番がイメージできて期待が高まります!
若月 海水を使ったコンクリートパネルにも興味を持ちました。未来の建材としても注目ですね。
綿密な植樹で自然な森を再現
若月 続いて、会場内に設けられた緑地「静けさの森」を博覧会協会の石田さんにご案内いただきます。
岡本 実際に入ると、もともと自生している雑木林を歩いているようで驚きました。
石田 更地の状態に土を運んでくるところから始まり、約2.3ヘクタールの広さに約1500本の樹木を植栽して造られるのが「静けさの森」です。2023年末から植栽が行われ、今のような姿になりました。
若月 吹田市の万博記念公園など、大阪各所から木を移植されていると聞きました。
阿尻 はい、間伐をしなければならない樹木などを選んで持ってきています。真っすぐで立派なものだけではなく、細かったり形がいびつだったりする樹木もうまく組み合わせて、大きさ・樹種・植える位置を詳細にデザインして自然の景観をつくり出しています。
若月 中央の池をはじめ水場があり、木陰は夏場でも涼しいそうなので、会場内でも落ち着けて心癒やされる場所になりそうですね。
25年後の自分に会える
若月 大阪ヘルスケアパビリオンをご案内いただくのは、同パビリオンの広報を担当されている西野さんです。
岡本 すごく大きな建物ですね!
西野 全パビリオンの中で2番目、日本政府館の次に大きなパビリオンです。ここでは、健康や命を感じられる展示を行います。今の健康データをスキャンして25年後の自分に会える「リボーン体験ルート」は、ぜひ多くの方に体験していただきたいコンテンツです。
若月 すごく興味ありますが、ちょっと怖くもありますね(笑)。
西野 他にも、大阪府市によるiPS細胞を使った心筋シートや株式会社サイエンスの「ミライ人間洗濯機」の展示、様々な企業による最新技術の紹介、食と文化の魅力発信など盛りだくさんの内容です。別館の「XD HALL」では「モンスターハンター」の体験型コンテンツもあります。
若月 ヘルスケアコンテンツからグルメやエンタメ体験まで、ここだけで1日楽しめて見どころ満載ですね!
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若月 建物はもちろん、展示内容も具体的になっていて,いよいよ万博が始まるのだと現実感を持つことができました。
岡本 リングをはじめ会場全体やパビリオンは迫力満点。すべて工事が完成したらきっと見たことのない景色が広がっているのだろうと、今から楽しみです。