「大阪・関西万博」開催まで約1年に迫った2024年3月、建設中の万博会場を2名のBANPAKUレポーターが見学に訪れた。25年万博のシンボルとなる大屋根「リング」を間近で見て、登り、一足早く万博を体感。そんな2人に、今取り組んでいる活動内容や万博へ期待することを聞いた。
――万博会場の建設現場を見て、どのようなことを感じましたか?
三宅 これまでは、報道などで見聞きするだけだったのですが、実際に現場に来てリングが7割方形になっているところを見ると、着々と進んでいるのだと感じました。私は工学部で土木や建築分野の勉強をしているので、柱や梁(はり)が組み上げられている様子を見ることができたのは大きな財産になりました。
堤中 福島県浪江町の工場が「リング」の木材加工を行っていると聞きました。大阪だけではなく、他の地域やいろいろな人が繋がって、皆が万博に参加しているのだと、それがすごく良いことだと思いました。暗くなるとライトアップもされると聞いて、万博開幕後に会場に行って見ることがより楽しみになりました。
――現在、万博に関連して学校や所属団体で取り組んでいることを教えてください。
堤中 SDGsを幅広い世代に広めようという団体「T×SDGs」に所属しています。最近では、「『いのち輝く未来社会』ワークショップ」と題して、ブロックを用いて参加者それぞれが抱えている未来社会への夢や希望、不安も含めてかたちにするイベントを催しました。イベントの企画や登壇者として発言することを通して、学生の立場からアプローチすることで、同じ若者の万博への関心度が上昇するのではと思っています。また学部では多文化共生について学んでおり、SDGsが大きなテーマとなっています。まさに万博のテーマと重なる部分が大きいと感じています。
T×SDGsのメンバーとともに開催したイベントにて
三宅 大学で『SDGsアンバサダー』として、万博を盛り上げる活動をしています。12月に岡山県と大阪・関西万博を繋ぐイベントを開催することを目標にしています。岡山の人たちに万博を知ってもらい、県外の人には岡山の魅力を伝える内容になるよう計画中です。今日の体験をほかのメンバーにも共有して、皆の熱量を上げて活動に取り組みたいと思います。
岡山大学SDGアンバサダー「OU!万博」のメンバーとともに
――いよいよ万博の開幕まで1年となりましたが、どんなことに期待しますか?
三宅 個人的にはやはり、新しいものに出合って、自分の中に吸収したいという思いはあります。また、多くの人が訪れることでの経済効果はあると思いますが、それだけではなく、私たちが岡山と万博を繋ぐイベントを企画しているように、万博をきっかけに人が集まって、何かのムーブメントが起きることへの期待もあります。
堤中 父から、1970年の万博に行き、コンピュータに初めて触れて、すごく感動したという話を聞きました。私も、来年の万博で生まれて初めての体験をしてみたいと思っています。多くのパビリオンがあり、来場者が持ち帰る感動も多種多様だと思います。それぞれが持ち帰った感動を皆で共有することも楽しみですね。未来に不安を感じてしまいがちな今の時代において、万博をきっかけに世界中の人々とともに未来社会を考えることは意味深いと感じます。
――最後に、万博を通して挑戦してみたいことを教えてください。
三宅 12月のイベントが成功したら、ぜひ万博開催期間中にもやりたいと考えています。大きなイベントができないとしても、例えば万博の魅力を記した紙を配るといった小さな活動でもやってみたいですね。今日、私がリングを見て受けた感動、人間ってこんなことができるのだという衝撃を、万博に行けば皆が感じられる。そのためのPR活動にぜひ携わりたいと思っています。
堤中 私が通う大学に、親子が利用できる「子育て広場」があります。そこに訪れる人達に、親子が描く理想の未来社会とそれに最も関連の深いSDGsテーマを選んでもらうのです。女子大のネットワークを利用して、多くの回答を集め、それを多言語で記したペーパーにまとめて万博来場者に向けて発信する。そんなことができればと、皆でアイデアを練っているところです。