中島さち子氏が学生向けワークショップ 心が動いた経験からプロジェクト構想

日本経済新聞社大阪本社は6月10日、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」をプロデュースした中島さち子氏を講師に、学生向けワークショップ「自らの経験から考える、キャリアと社会のつながり」をBlooming Camp(ブルーミングキャンプ、大阪市)で開催した。参加した約20人の学生たちは、自身の人生で心が動いた瞬間を起点に、社会課題を解決するプロジェクトの構想に挑んだ。

2025年大阪・関西万博の取り組みを発展させるためのイベント「大阪・関西万博 レガシー継承イベント 万博後の新たなムーブメントの創出に向けて」のプログラムの一環として催した。生きがいを感じながら社会課題を解決していく次世代の担い手を育成することが狙いだ。

中島さん(左端)との対話を通して、自己理解を深める学生たち

「いのちが高まった」経験を基に

ワークショップでは、学生たちが「どんな人生を生きたいのか」を考えることを重視。中島氏は自身の経験を紹介しながら、学生たちに心が動く瞬間を整理するよう促した。

中島氏が万博で担当したテーマ「いのちを高める」を巡っては、障害の有無や個々の立場などに関わらず、遊びや音楽を通じて、全ての人が創造性を発揮できるようにプログラムを構築したという。「万博はルールがあるようでない世界。何のためにやるのかを考え、資金やルールを自分たちで作っていくのが大事だった」と振り返った。

大阪・関西万博での取り組みを学生たちに伝える中島さん(中央)

学生たちは、それぞれの「いのちが高まった」瞬間を考え、互いに披露しあった。「半年間頑張ったメンバーとプレゼン大会で優勝した瞬間」や「万博会場で発表した経験」など多彩な意見があがった。

ECCコンピュータ専門学校3年の藤井陽斗さんは「みそ汁を飲む時など、日常のちょっとした出来事の中にいのちの高まりがあることに気づいた」と言い、誰もが自然体でいられる居場所づくりに関心を示した。

「いのちが高まった」瞬間を伝え合う学生たち

その後、学生たちはグループに分かれ、それぞれの「いのちが高まった」経験を掛け合わせて社会課題解決につながるプロジェクト案を作成した。

甲南大学3年の井上喬太郎さんは、姫路城を舞台にした「姫路城バンジージャンプ」の企画を発表した。インバウンドの増加などによる入場料値上げという課題に対し、歴史的建造物に「命の危機と高揚」という体験価値を付加して考えたという。井上さんは大学の起業部に所属しており、「これまでは儲けられるかに注目してきたが、感情の動きに着目するアプローチは新鮮だった」と話す。

このほか、子どもが大人と対等に語り合う「子どもバー」で対話を通じた成功体験を子どもたちに提供するプログラムや、成功の裏にある「最高の疲労」に着目したワークショップなどが挙がった。

「いのちが高まった経験」を掛け合わせ、プロジェクトを考案する学生たち

哲学を持ってやり抜いて

中島氏は、考案したプロジェクトについて、「まずはやってみるのが大事。失敗してもいい」と強調。万博で自身の提案が通らなかったケースを振り返り、「だめな理由を聞いて諦めるのではなく、乗り越えてきた。一人でできないことは人の力を借りた」と対応方法を示した。

「まずは自分の心がワクワクするのを大切にしてほしい。そして、自分は何を大事にしたいか哲学を持ってやり抜いてほしい。どんな企業に行っても、どんな職業に就いても生きる経験ができる」と説き、「アフター万博や私たちのことをぜひ活用し、未来を築いていって」とエールを送った。

学生たちに思いを伝える中島さん

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