日本経済新聞社大阪本社は6月10日、大阪市内で「大阪・関西万博 レガシー継承イベント 万博後の新たなムーブメントの創出に向けて」を開催した。当日は約230人が集まり、講演やパネルディスカッションなどを通じて、万博での経験やつながりを未来にどう生かしていくかを考えた。本記事では、パネルディスカッションと大阪市長 横山英幸氏の講演の内容を紹介する。
「大規模イベント後の新たなムーブメントの創造」と題したパネルディスカッションでは、オーストラリア・クイーンズランド州政府駐日事務所の猪岡メリッサ駐日代表と、パソナグループの佐藤晃執行役員が「万博の先」について展望を語った。
万博のコネクション、ブリスベン五輪へつなぐ
クイーンズランド州では、2032年に州都ブリスベンを中心に五輪・パラリンピックの開催を予定している。大阪・関西万博のオーストラリア・パビリオンでは、スポーツやエネルギー、教育などの分野で日本企業との商談や交流を積極的に行ったといい、「万博で培ったコネクションを次のステップに生かしたい」と猪岡氏。五輪・パラリンピックを州全体の活性化につなげる計画で、「大阪を愛するクイーンズランド州の人を増やすとともに、大阪の人にもクイーンズランドやオーストラリアのことを理解してもらいたい」と訴えた。

万博で示した夢を日常の当たり前に
佐藤氏は、「万博のレガシーはネットワーク、人材、アイデアの3つだ」と指摘。パソナグループが進める社会実装の取り組み例として、淡路島に建設した長期滞在施設を紹介した。万博のパビリオン「ネイチャーバース」で提示したウェルビーイング(心身の健康と幸福)の概念を引き継ぎ、健康と病気の間の「未病」をテーマに、健康寿命を延ばすためのプログラムを提供するという。他社との共創では、H2Oリテイリングの店舗でのアバター(分身)による接客や、エステーとの香りが健康に及ぼす効果の研究、ヤンマーとの農業プロジェクトなども進めている。「万博で表現したものが夢物語ではなく、日常の当たり前のことへ社会実装していくムーブメントが重要だ」と強調した。

関西のコミュニケーション能力を生かして
司会を務めたフリーアナウンサーの八木早希氏は「万博を通じて生まれた深いつながりは必ず何かに結びつく」と指摘。「関西独自の高いコミュニケーション能力を生かして、万博のレガシーを広めてほしい」と呼びかけた。

もう一つの極を大阪に 経済力・都市力を強化
大阪市の横山英幸市長は「Beyond EXPO 2025 成長・発展を目指す大阪の成長戦略」をテーマに講演した。「万博のレガシーを生かしながら、東京一極集中ではなく、もう一つの極を大阪につくっていく」と力を込めた。副首都構想について、「非常時の首都機能のバックアップだけでなく、平時から日本の『成長エンジン』を担うことが重要だ」と指摘。万博後のビジョンとして、「大阪独自の強みを生かした経済力と、ワクワクするようなエンタメ都市の魅力を強化する」と述べた。
都市整備では、大阪市内の繁華街キタとミナミに加え、万博跡地や統合型リゾート(IR)予定地のある「ニシ」と、大阪城東部地区の「ヒガシ」の開発を進めている。「南北と東西を軸に、都心部を放射状に広げていく」と構想を語った。
万博では、商談会や国際交流も活発に行い、構築したネットワークの活用に意欲を見せた横山市長。「人のつながりをレガシーとし、万博関連イベントや街づくりを通じて大阪・関西を盛り上げていきたい」と力説した。

