次世代の都市ガスe-メタンの未来 開発者と学生が議論

日本経済新聞社は9月22日、次世代の都市ガスの展望について議論する日経ビジネスイノベーションフォーラム「次世代エネルギーから始まる未来社会の実現~大阪‧関西万博 化けるLABOから世界へ発信~」を大阪・関西万博のテーマウィークスタジオで開催した。

大阪ガスの社員と、社会課題解決に取り組む学生が、万博会場での実証実験や脱炭素社会の実現に向けたエネルギー転換について意見を交わした。

地球規模の課題解決策を模索する万博の「テーマウィーク」の一つ、「地球の未来と生物多様性」を題材に企画した。

対談の様子

エネルギーの地産地消モデル

フォーラムでは、二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロの都市ガス原料「e-メタン(合成メタン)」の普及を目指す大阪ガスの担当者2人が講演した。

同社は、万博会場内の実証実験施設「化けるLABO」で、再生可能エネルギーで製造したグリーン水素と、万博会場の生ごみ由来のCO2や大気中のCO2といったリサイクルされたCO2からe-メタンを製造していた。

桒原洋介企画部カーボンニュートラル推進室長は、e-メタンの利点について「天然ガスとほぼ同じ成分のため、既存のサプライチェーン(供給網)をそのまま使え、シームレスな脱炭素社会への移行が可能だ」と説明した。

桒原 洋介氏

横山晃太エンジニアリング部CNM開発チームマネジャーは、「化けるLABO」で8月末までに合計約13,000m3(月当たりご家庭400軒分相当)のe-メタンを製造し、迎賓館などに安定供給した実績を紹介。「未来のサーキュラーエコノミー(循環経済)として、持続可能な社会を実現する地産地消モデルになる」と意義を訴えた。

横山 晃太氏

意識改革と対話の重要性

続く対談では社員2人と学生3人が未来のエネルギーについて議論した。コーディネーターはフリーアナウンサーの八木早希氏が務めた。

京都産業大学4年の若月拓海さんは、万博会場の飲食店でアルバイトをした際、生ごみに別のごみが混ざっていた経験から、「街全体で取り組む際は、ごみを出す側が分別の意識をもっと高めなければならない」と指摘した。

若月 拓海さん

奈良女子大学3年の堀琴実さんは、日本経済新聞社の学生取材班としてe-メタンについて取材したといい、「イノベーションを起こす一方で、企業と地域が協力し合うために対話を重ねていく必要がある」と述べた。

堀 琴実さん

万博で音楽を通した国際交流イベントを手掛けた大阪大学3年の坂下空蒼さんは、大阪ガスが世界各地の企業と共創している現状に着目。「社会課題の解決には、国内外でのネットワークづくりが大事だ」と持続可能な社会づくりを評価した。 

坂下 空蒼さん

八木氏は「先人の努力と、その技術を継承する若い世代の挑戦が、未来社会をつくっていく」と力を込め、学生たちにエールを送った。

八木 早希氏

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