日本経済新聞社は7月24日、「日経STEAMスペシャルセミナー」を大阪・関西万博のテーマウィークスタジオで開催した。神戸女学院大学の学生と帝塚山学院高校の生徒が、性感染症の拡大防止やメディアリテラシーの向上策について発表した。
日本経済新聞社は、工学や数学、芸術などを横断的に学ぶSTEAM(スティーム)教育に着目し、様々な社会課題に取り組む人材を育成する「日経STEAM」を2022年に立ち上げた。今回のセミナーでは、2024年の日経STEAMシンポジウムの参加校から選ばれた2校が、研究成果を発表した。

「終わりなき探究」で未来創って
日経STEAMアドバイザーで、大阪‧関西万博テーマ事業プロデューサーの中島さち子氏は冒頭で挨拶し、「知識を得るだけでなく、何かを創り出そうとすることがSTEM教育の根本にある」と説明。「問いを創る力」を発揮し、より良い社会に向けて疑問を持ち、行動を起こしていく力を育むという。
学生や生徒たちに向け、「探求には終わりがなく、それが面白い。多様な存在とどのように生きていくのかを考え、自身の好きなもの、関心があるものを組み合わせながら、未来を創り上げていってほしい」とエールを送った。

親子で性の話6割「なし」
神戸女学院大学の学生チーム4人は、近年の性感染症拡大を巡り、教育現場と家庭での性教育の課題について調査結果を発表した。
2025年5〜6月に中高大生やその保護者、教員を対象にアンケートを実施し、1476人から回答を得た。
中高大生の59%が、性行為や性感染症の話を親としたことが「全くない」と回答。恥ずかしさを感じるという回答が62%に達し、保護者側も37%が抵抗を感じていた。神戸女学院大学の学生は「幼少期から、性の話を命の話として伝えるのが大切だ」と指摘した。
性について学ぶ機会を増やすため、学校のタブレット端末で関連書籍を閲覧できる環境を整備することや、正しい情報を判断するためのメディアリテラシー教育、若者自身が同世代に性の知識を伝えることを提案。「性をタブー視せず、自然に語れる空気を育み、支え合える社会を目指そう」と訴えた。

「受け手」の意識改革を
帝塚山学院高校の生徒5人は、メディアリテラシーの向上策についてプレゼンした。生徒たちは「フェイクニュースを発信する人の発言を全て取り除くのは不可能だ。情報を受け取る側の意識を変えなければならない」と強調した。
情報の受け手の意識を変えるための手法としてAI(人工知能)の活用を挙げた。「SNS利用時に、見ている情報と違う見方があることをしつこくコメントし、注意を促すAIがあると良い。記憶にも残り効果的だ」とユニークな発想を披露した。
さらに「大人が指導するよりも、同じ立場に立てる高校生の私たちが、生徒に寄り添った方法を考え、発信していくべきだ」と結論づけた。

多角的な視点で議論
続いて、大学生と高校生が対談。日経STEAMアドバイザーで、京都大学学際融合教育研究推進センターの宮野公樹准教授(学問論)が進行役を務め、質疑を通して議論を深めた。
宮野准教授は、学生たちの提案に賛意を示しつつ、さらに多角的な視点で意見交換を促した。学生らは、互いの意見に触発されながら発言を重ね、「新しい見方や解決策が出てきたので、今後の研究課題にしていきたい」「2つのテーマを掛け合わせてセッションするのは画期的で面白かった」といった前向きな意見を述べていた。
宮野准教授は「同世代が課題解決に向けて発信していく提案など、学生や生徒ならではの発想と提案がすばらしかった」と賛辞を贈り、今後のさらなる活躍に期待を示した。

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