SDGsの先にある“幸せ”とは
石川 大阪・関西万博では、約1週間ごとに異なる地球的課題をテーマに設定し、解決策を話し合う「テーマウィーク」が実施される。その最終週(2025年10月2日~12日)に設定されているのが、今回のセッションテーマ「SDGs and Beyond」だ。
セッションでは未来について考えるテーマ性から、大阪大学の学生である森本大貴さんと竹花実彩さんにご参加いただいた。また、京都大学教授で人と社会の未来研究院 院長の内田由紀子氏にもご登壇いただいた。
大阪・関西万博ではテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を具現化していこうとの議論の中、ビジョンとしてSDGsの達成と、さらにプラスしてBeyondを考えていくということになった経緯がある。また万博を前後して国連未来サミットが2024年9月に、SDGsサミットが2027年にそれぞれ予定されている。これらを鑑みると、テーマウィークでは各国がSDGsのゴールである2030年に向けて取り組む最中ではあるが、日本はこのゴール像とともに世界に先駆けてポストSDGs、つまりand Beyondについての議論を開始する役割を担う。
石川 大阪・関西万博では、約1週間ごとに異なる地球的課題をテーマに設定し、解決策を話し合う「テーマウィーク」が実施される。その最終週(2025年10月2日~12日)に設定されているのが、今回のセッションテーマ「SDGs and Beyond」だ。
セッションでは未来について考えるテーマ性から、大阪大学の学生である森本大貴さんと竹花実彩さんにご参加いただいた。また、京都大学教授で人と社会の未来研究院 院長の内田由紀子氏にもご登壇いただいた。
大阪・関西万博ではテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を具現化していこうとの議論の中、ビジョンとしてSDGsの達成と、さらにプラスしてBeyondを考えていくということになった経緯がある。また万博を前後して国連未来サミットが2024年9月に、SDGsサミットが2027年にそれぞれ予定されている。これらを鑑みると、テーマウィークでは各国がSDGsのゴールである2030年に向けて取り組む最中ではあるが、日本はこのゴール像とともに世界に先駆けてポストSDGs、つまりand Beyondについての議論を開始する役割を担う。
内田 2024年9月の国連未来サミットでは、Beyond SDGsの重要テーマの候補として、ウェルビーイングが挙げられている。ウェルビーイングとは、日本語でいう「幸せ」という概念に近い。定義的には「よく生きる」「より良く社会に貢献する」なども含まれるだろう。
誰かひとりの幸せだけではなく、周りにいる人、同じ街や国にいる人、そして世界や未来に対しても、どうすればより良い形で心豊かに生きていけるかを考えていくことになる。個人の心理的な安寧とともに、社会戦略を考えていくのがウェルビーイングだ。
石川 そもそもSDGsの歴史を振り返ると、1987年に出された国連の「ブルントラント報告」が契機であり、その後30年弱もの議論を国際的に重ね、SDGsという具体的な分野と指標が設定された。
一方で、そもそもSDGsは「負の遺産を未来へ残さない」ということが基本的なコンセプトになっている。あえて欠けている視点をあげるとすれば、いかにして将来世代に「正の遺産」を遺せるかとなる。そのような背景を踏まえて、and Beyondの方向性について、これから万博はもちろん、国際的にも活発な議論が始まっていくことになる。
未来に希望を伝えるため今できることとは
内田 先ほどの「負の遺産を未来へ残さない」という視点は大切だが、マイナスをゼロにするだけでなく、もう少し「未来へプラスを残したい」ところだ。価値の再確認や貢献といったメッセージが伝えられればと思う。
森本 未来を生きる私たちは何ができるかを考えた時、私は「様々な立場の人と関わる」ことを重要視している。従来は正しさの最小公倍数を探してきた社会に対して、これからは未来への流れの中で「正しさの最大公約数」、一人ひとりの個を重視しながらも、共通項を見つけ出していく作業になっていくだろう。
森本 未来を生きる私たちは何ができるかを考えた時、私は「様々な立場の人と関わる」ことを重要視している。従来は正しさの最小公倍数を探してきた社会に対して、これからは未来への流れの中で「正しさの最大公約数」、一人ひとりの個を重視しながらも、共通項を見つけ出していく作業になっていくだろう。
竹花 議論を進める前に、人が集うということが重要だ。若者に限らず、人は何かしら楽しそうなところに集うものであり、テーマウィークでも難しい雰囲気ではもったいない。私は学生として楽しい場づくりに貢献しつつ、交流や議論を交わす面白さをより多くの人に伝えていきたい。
寛容さを持った社会が世代をつなぐ
内田 いつも思うことだが、現代社会は他者に厳しすぎる。そんな大人の姿をみて、子供たちが希望を持つことは難しいだろう。互いに寛容になることが、人生を豊かにしていくためにも大切だ。何気ない感謝を示す、失敗を許すといった寛容さを日々の中で重ねていくことが、人同士をつなぎ、世代をつなぎ、現代と未来をつないでいく。
石川 少し視点を変えると、万博のように「普段接しない人同士が一つの方向性に向けて議論する」となれば、おのずと寛容さは持てるだろう。率直に議論を交わし、価値ある対話ができればと願っている。またこれをきっかけに、少しでもand Beyondの方向性が見えたなら、これ以上嬉しいことはない。