日本経済新聞社は2025年11月28日、大阪・関西万博に参画した学生と企業がこれからの共創について考えるイベント「日経未来社会共創ゼミNEXT」を大阪市中央区の大阪商工会議所で開催した。学生と企業関係者らは活発な意見交換を行い、日本経済新聞社は2026年も交流の機会を設けていく方針を示した。

今後の活動に向け機運醸成
日本経済新聞社大阪・関西万博室は、社会課題の解決に取り組むZ世代の学生の成長を促そうと、ゼミ形式の催しや企業と対話する場をつくってきた。2023年9月から万博期間にかけて計25回開催し、学生延べ約1400人、企業・団体から延べ約700人が参加した。
今回は、万博の成果を検証し、今後の活動に向けた機運を醸成するために開き、学生81人、企業・団体から66人の計147人が参加。司会は、学生団体「WAKAZO(ワカゾウ)」の成仁脩(そん・いんす)さんと、立命館大学万博学生委員会「おおきに」の高木葵凪さんが務めた。

共創を呼びかけ
会場に集まった学生と、パビリオン関係者などによる意見交換では、学生たちが万博での実践を紹介し、今後の活動の継続に向けて企業や団体の関係者らに共創を呼びかけた。

万博でハンガリー館の関係者と交流を深めた学生からの「一緒に企画をしたい」という声を受け、在大阪ハンガリー領事館の三川桃氏は「万博閉幕後の企画について悩んでいるのは私たちも同じ。遠慮せずに声をかけてほしい」と連携に意欲を示した。
万博での出展や発表を目標に活動してきた学生が、今後の展開について相談した際は、「未来の都市」パビリオンの運営に携わった大日本印刷(DNP)の高見未来氏が「万博に向けて取り組んだ活動を、全国のニーズのある場所で生かしてほしい」と助言。博覧会マニアの二神敦氏は「万博は実験の場だ。万博で分かった課題をこれから解決していくのも大切だ」と指摘した。
三井住友銀行出身で万博の機会を活用した新産業創出に尽力してきた、ドリアイイノベーションの林俊武代表社員は「万博は一人一人の頑張りによって成功した。これからは万博で得た知見やつながりを使い倒して頑張ってほしい」とエールを送った。

取材で気づきや変化
学生取材班や学生レポーターとして、万博のイベントや各企業の取り組みを取材した学生によるトークセッションでは、取材を通して得た気づきや考え方の変化が示された。
ドイツ館や「いのちの遊び場 クラゲ館」などを取材した立命館大学3年の小寺沙朋さんは「未来社会はすごく自由だった。世界という視点で見たら、1つの姿に絞る必要はなく、たくさんの目標が1つ1つあって良い」と感想を述べ、「何よりも共創が盛んでワクワクした。マーケティングでは競争が重視されるが、もっと共同開発の視点を持っても良い。今後企業間パートナーシップの重要性について研究していきたい」と目標を掲げていた。

スイス館などを取材した大阪国際大学3年の鶴原巧翔さんは「万博会場にいる人々の努力が、世界を動かす大きなきっかけになっていた」と学びを紹介。植物性のだしを使ったラーメンの試食会では、動物性食品を口にしない人とともに日本の食文化を楽しみ、「身近な文化や生活の一部が社会をつなげるきっかけになるのを学んだ。自分のこれからの活動に生かしていきたい」と力を込めた。

交流で生まれる連携
学生と企業・団体の関係者による交流会では、熱心に話し込み、つながりを広げた。

非常食のアレンジ弁当で防災啓発に取り組んだ関西大学の学生が、今後の活動の継続に向けて非常食の提供を求めると、長期保存食メーカー尾西食品(東京・港)の栗田雅彦取締役は「連携していきたい」と応じた。
会場には万博の公式キャラクター「ミャクミャク」も登場し、催しに花を添えた。参加者は記念撮影などを楽しんだ。

催しが学生と企業の双方のメリットにつながっているのを踏まえ、日本経済新聞社は2026年も継続していく方針だ。
学生による取材の機会は「NIKKEIミライ取材班」として26年4月から活動を開始する。持続可能な開発目標(SDGs)に関する企業の取り組みなどを取材しながら1年間所属し、2027年3月に修了証を受け取る。
26年2月17、18の両日には、アフター万博のイベント「NEXT KANSAIフォーラム」を大阪市北区のハービスホールで開催する。学生向けの事業説明会を実施し、参加企業との交流会に招待する。
学生が主体となる企画も予定しており、日本経済新聞社大阪・関西万博室長を務めた楢崎健次郎氏は「主役は学生の皆さん。仲間を増やし、活動を続けていってほしい」と思いを語った。

