学生がNFT作成、活用方法を模索 日経未来社会共創ゼミ

日本経済新聞社は4月19日、社会課題の解決に取り組むZ世代の学生向け連続講座「日経未来社会共創ゼミ」で、非代替性トークン(NFT)を作成するワークショップを大阪本社(大阪市)で開催した。

「Web3.0の技術を活用したNFTワークショップ〜オリジナルNFTを発行して万博を最大活用!ブロックチェーン技術活用!〜」と題し、大阪・関西万博独自の決済アプリ「EXPO2025デジタルウォレット」を使ってNFTを作成。参加者は唯一無二のデジタルスタンプを作る仕組みについて学び、自身の活動への活用方法を模索した。NFTはデジタル資産の所有権を証明する仕組みで、万博の決済アプリでも使用されている。

NFTの活用方法について活発に意見交換する学生たち

ブロックチェーン(分散型台帳)事業を手掛けるHashPort(ハッシュポート、東京・港)と、三井住友銀行の担当者が講師を務めた。両社は「EXPO2025デジタルウォレット」の運用で連携している。

参加した学生とビジネスパーソンたち

唯一無二のデジタルスタンプを容易に

ハッシュポートの野村駿平氏は、ネット利用者がデータを共有・管理しながら運用する分散型のウェブサービス「 Web3(ウェブスリー)」について解説。正しい記録を鎖のようにつないで蓄積するブロックチェーンの技術により、データの複製や改ざんが困難なことを説明した。

ブロックチェーン技術を使ったコンテンツの1つがNFTだ。同社が「EXPO2025デジタルウォレット」に提供する「Connect Hub(コネクトハブ)」の機能により、利用者は独自のNFTを発行できる。専門的なプログラミングの知識がなくても、必要なデータを所定のフォームに入力するだけでNFTを作成できるのが特徴だ。今回のワークショップではソウルバウンドトークン(SBT)と呼ばれる譲渡不可のNFTを作成した。

学生たちにNFTの作成方法を説明する野村氏(右端)

それぞれの活用方法を提案

学生たちは、NFTに入力する内容やどんな時に発行するかなどを相談しながら、自分たちの活動に生かす方法を考えた。

同志社イノベーションコミュニティの小田航大さん(同志社大学3年)は「企業と連携したイベントで入場券として使えないか」と話し、東京大学の卒業生や在籍者らによる学習塾経営のTricoLogic(トリコロジック、大阪市)の取締役、石丸達也さんは「カリキュラムの修了証や、ポイントとして発行すれば生徒のモチベーションを上げるのにも役立つ」と意欲を示す。

医学生を中心にした学生団体WAKAZO(ワカゾウ)の大坪流奈さん(滋賀医科大学5年)は、6月に万博会場で展示やワークショップを実施する予定で、「来場できない人にも、NFTが自分たちの理念を伝える機会になる」と新しい媒体としての可能性を感じていた。

学生たちに運用方法を助言する宮田氏(中央)と松田氏(右)

万博をチャレンジの場に

ハッシュポート執行役員の宮田健佑氏は「NFTをもらって嬉しいというだけでなく、何を紐付けているのかが重要」と指摘。同社のEXPO2025ストラテジックアドバイザー、林俊武氏は閲覧を促すポイントも助言していた。

三井住友銀行の関西成長戦略室室長代理の松田英樹氏は、社員間で感謝を伝える時にNFTを活用した自社の実証実験を紹介し、「コミュニケーションツールの一つとして考えても面白い。せっかくの万博の機会なので、それぞれの使い方でチャレンジしてほしい」と期待を示した。

NFTの活用案について発表する石丸さん

理解深め合う交流の場

ゼミ終了後は、学生やビジネスパーソンらによる交流会も実施。NFTの使い方について意見交換する姿も見られた。

「日経未来社会共創ゼミ」は学生たちの成長や、共創に向けた出会いの場を提供するため、万博期間中に定期開催する計画。次回は5月31日に大阪本社で開催し、テーマは「防災食から考える災害時の食と備え」。長期保存食メーカーの尾西食品(東京・港)と食品メーカーのカルビーの関係者と共に「防災食クッキング」のワークショップを行う。

交流を深める参加者たち

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