日本経済新聞社は2024年12月20日、Z世代の学生向けの連続講座「日経BANPAKUゼミ」の最終回を大阪本社(大阪市)で開催した。
同ゼミは、社会課題の解決や大阪・関西万博に向けた学生たちの活動のブラッシュアップを図るのが目的。出席した学生たち一人一人がゼミでの学びを振り返り、今後の実践に向けて決意を表明した。

日本経済新聞社の大阪・関西万博室は、次世代を担う若者たちが活躍できる環境を提供しようと「Z世代との共創」を掲げて事業を運営している。学生たちから、費用の確保や仲間づくりなど、活動を継続していくための手法を学びたいとの要望が多かったため、ゼミを企画した。
2024年5月にオリエンテーションを行い、6〜12月に全6回の連続講座として開催。新規事業の開発支援や教育の専門家をアドバイザーに招き、学生たちは自身の取り組みを発表して助言を受けたり、顧客の明確化や人脈の広げ方などの手法を学んだりした。

学びの成果や今後の展望を発表
最終回は、参加した学生が3チームに分かれ、ゼミを通して学習したことや今後の展望について全員が発表した。
全6回に参加した千星昌也さん(京都大学2年)は、所属団体の子ども食堂の運営について「自分たちがどうしたいかではなく、子どもたちや親が何を求めているかを捉える大切さを学んだ。企業や団体にも連携をお願いし、地域全体に愛される存在になる」と抱負を語った。
個人の立場で全ての回に参加した岡本彩也さん(大手前大学1年)は、地元の食材を使った料理をキッチンカーで販売し、使用した食材をオンラインショップで販売する地域活性化策を発表。「ゼミでの学びは、ビジネスだけでなく普段の生活でも役立つ。様々な場面で生かして活動していきたい」と意欲を示した。

アドバイザーから助言・激励
チームごとに1人のアドバイザーがつき、学生の発表を講評した。
経営課題解決のコンサルティングを手掛けるトイトマ(東京・品川)の山中哲男社長は、ゼミの全ての回に出席して学生の成長ぶりを実感したという。「最初の時よりも課題認識などがアップデートされていた」と総評し、「ここで生まれた横のつながりを大事にし、共に学び合いながら次につなげていってほしい」と激励した。
中小企業の後継ぎ経営者らの新規事業開発を支援する一般社団法人ベンチャー型事業承継(東京・千代田)の山野千枝代表理事は「自分がやりたいことを言語化し、周りに伝え続けていると、実現性が急に上がる時が来る」と助言。大学生のうちに行動を起こす大切さを説いた。
地方創生や探究学習支援に取り組む横田アソシエイツ(東京・中央)の横田浩一代表取締役は、起業時に必要な思考や行動のポイントを振り返り、「起業した学生はものすごく成長する。自分が成長するための手段として起業を選択するのも一つ。柔軟な考えでキャリアを築いていってほしい」と呼びかけた。

修了証を授与
ゼミの最終回に合わせ、修了証の授与式を行った。
全6回のゼミには、学生団体26団体と個人を合わせ計65人が登録。このうち3回以上参加した27人に修了証を授与した。全ての回に参加した皆勤賞は3人だった。

ビジネスパーソンと交流
ゼミの終了後は、来場した学生とビジネスパーソンの交流会を実施。会場には様々な企業の関係者が訪れ、学生たちと熱心に話し込む姿が見られた。
日本経済新聞社大阪・関西万博室の楢崎健次郎室長は「ゼミの最終ゴールは、ここで得た学びやつながりを今後に生かしていくこと。皆さんが描いている思いを実現する努力を続けてほしい」と奮起を促した。
