日本経済新聞社は5月31日、Z世代の学生向けの連続講座「日経BANPAKUゼミ」のオリエンテーションを開催した。社会課題の解決に向けて熱い思いをもった学生約40人が日本経済新聞社大阪本社(大阪市)に集まり、講師陣の話に熱心に耳を傾けた。
ゼミは大阪・関西万博や社会課題解決に向けて活動する学生団体や個人が対象。新規事業開発などの専門家らがアドバイザーとなって、活動のブラッシュアップや課題解決につなげる。学生同士や学生とビジネスパーソンがつながる場とし、万博に向けた共創を加速する狙いだ。
学生の悩みから企画
日本経済新聞社の大阪・関西万博室は、次世代を担う若者たちが活躍できる環境を提供しようと「Z世代との共創」を提唱している。
このゼミを企画したのは、社会課題解決に臨む学生と意見交換する中で「ビジョンはあっても継続性のある活動にするのが難しい」といった悩みが多いことを耳にしたのがきっかけだ。
オリエンテーションであいさつした楢崎健次郎室長は「Z世代は万博でキーになっている存在だ」と今後の活躍に期待感を示した。
社会に出ても役立つ力を
ゼミは2024年6〜12月に計6回実施し、12月には発表会を開く。学生たちは自身の取り組みについてプレゼンテーションしたり、ビジネス化に必要な事業計画や組織運営のポイントをワークショップで学んだりすることを通じて、活動の課題解決やブラッシュアップにつなげることが期待できる。
全体の進行役は、新規事業開発支援や経営課題解決のコンサルティングを手掛けるトイトマ(東京・品川)の山中哲男社長。大阪・関西万博では関係機関と連携し、事業化支援プロジェクトチームにも携わる。
山中社長は「同じような意識、価値観を持っている人とつながり、事業に取り組む経験は、社会に出ても絶対に役立つ。がむしゃらにチャレンジして」と激励した。
自身の時代感覚「信用して」
アドバイザーとして参加する一般社団法人ベンチャー型事業承継(東京・千代田)の山野千枝代表理事は、中小企業の後継ぎ経営者らの新規事業開発を支援している。
Z世代の強みについて、成長の過程で培ってきた時代感覚を大切にする重要性を指摘。「大人たちが求める賢さではなく、皆さんしか感じられないことを絶対に信用してほしい。これからの社会をつくるのは皆さんだ」と呼びかけた。
SDGsや地方創生、探究教育事業に取り組む横田アソシエイツ(東京・中央)の横田浩一代表取締役もアドバイザーを担当。ゼミの時間外も質問に対応するという。
共創の道を模索
ゼミは毎回交流会がセットになっているのも特長だ。アドバイザーや、学生たちとの共創に意欲的な企業関係者も参加する。オリエンテーション後の交流会では、参加した企業関係者と学生たちが積極的に交流を深め、共創の道を模索していた。
こども食堂「からふる」の代表を務める福本航大さん(京都大学2年)は「いろんな人と関わりをつくってそれぞれの強みを響き合わせたい」と新たな出会いに期待を示した。
教育支援団体「Imakuri」の創設者、長野芽依さん(同志社大学3年)は「社会課題の解決に取り組む際の一番の課題は、持続できるようにするためのビジネス化。その力を身に付けたい」と力を込めた。
応募締め切りは6月18日(火)
日経BANPAKUゼミの応募締め切りは6月18日(火)。募集内容の詳細は特設ページよりご確認ください。