
アルプスの牧歌的な風景と最先端のテクノロジー。その両極を併せ持つスイスの姿を体現したのが、今回のスイスパビリオンだ。テーマは「ハイジと共に、テクノロジーの頂へ」。多くの人がチーズや「アルプスの少女ハイジ」の物語、あるいは直接民主制を思い浮かべるスイスだが、展示は文化と先端技術が共存する国の姿を多面的に描き出す。
会場の中心は球体構造の展示室。第1の球体では、日本でも馴染み深い切り絵でスイスの文化や政治、経済が表現される。切り絵の中には日本版とスイス版、2通りのハイジが隠されており、大人も子供も宝探し感覚で楽しめる趣向だ。

第2の展示室に入ると、ミントや花の香りが広がる。中央にはいけを模した空間にシャボン玉が浮かび、来場者がマイクに向かって願い事を口にすると、願いとともに新たな泡が生まれる。集まった願いはスイスの大学が開発したAIが集計し、最も多い願いが翌日館内に掲示されるという。

第3の展示室は研究機関と一般を結ぶ場。スイスはアカデミックな研究が盛んな国だが、成果が一般市民に伝わる機会は限られてきた。ここでは、GESDA(ジュネーブ・サイエンス・ディプロマシー・アンティシペーター財団)の展示を通じ、各国の研究データをAIが分かりやすく提示する。来場者は未来の社会像を直感的に体験できる。また、スタートアップ企業や研究機関の挑戦も紹介され、スイス国内の課題にとどまらず、世界的な問題への解決策を模索する姿勢が示される。
最後の展示室にはハイジと写真撮影ができるブースが設けられ、世代を超えて楽しめる構成となっている。

「共同」の意識が根強いスイス。その価値観は今回の展示全体に通底する。伝統文化とテクノロジーの融合を五感で体験できるスイスパビリオンは、来場者に「未来と共に生きる」同国の姿を鮮やかに印象づけた。
学生取材班:長野芽依(同志社大学)
