「みんなの創造性が開くような社会にしていきたい」。2025年大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」のプロデューサーを務める中島さちこさんは思いを語る。

クラゲ館は「いのちを高める」というテーマのもと、一人ひとりの多様な価値観が開くような社会に変えていく、「創造性の民主化」に挑戦しているという。
クラゲはいのちや創造性に大切な「揺らぎのある遊び」の象徴として表現されている。クラゲ館にはこの「揺らぎのある遊び」を体験できる仕掛けがいくつもある。その1つが「角命(かくめい)」というモニュメントだ。910個の正三角形が作る幅2メートルほどの立体物には15000個のLEDが内蔵されており、上部に設置したカメラが来場者の動きをとらえ、手をかざすと色や模様、音が変化する。

実際に訪れてみて、「角命」に手をかざし、色や音が自分の動きに反応するのを体験したとき、私はただ鑑賞するのではなく、その場の一部になっているような感覚を覚えた。クラゲ館はただの建築物ではなく、人と人との関わりによって育まれていく「場」であると感じた。
会期中にさまざまな人が訪れ、それぞれの思いや視点を持ち寄ることで、この場が共にかたちづくられていく。一人でできることは限られている。だからこそ、来場者一人ひとりが自分の考えを伝え合い、互いに耳を傾けながら、何かをともに生み出していくことが大切なのだ。
未来は、私たち自身が責任を持って築いていくものであり、その過程では多様性を尊重する姿勢が欠かせないのだと強く思った。
学生取材班:若月拓海(京都産業大学)