2025年には日本との交流が始まってから425年周年を迎えるという長い歴史をもつオランダ。2025年の大阪・関西万博では今までと今、そしてこれからの関係を示す目的を持つ。
万博におけるオランダのテーマは「コモングラウンド」。共通(コモン)+土(グラウンド)という意味合いを持ち、同じ場所に集まり、リアルに接することで互いを見て、その人自身を理解することで新しい発想が生まれることに期待している。
今回の万博では気候は1つの大きなトピックとなっており、ファザード(正面部分)の外観デザインは水をモチーフとした波の形になっている(写真)。中心に見える球体は内部に入ることができ、未来・クリーンエネルギーの展示をする予定となっている。球体は長方形の建物の真ん中にあり、オランダパビリオンの隣にあるリングに登って上から見ると、日本の国旗のようにも見える。
内部の構成としては左右で大きく分かれている。右側は主にオランダのイノベーションを展示し、カフェもある。左側は約100人規模のイベント会場となっており、内容は都度変わる。プログラムテーマは「エネルギー転換、サステナビリティ、循環型経済」「サステナブル農業食品&ハイテク施設園芸」「ライフサイエンス・ヘルスケア」「ハイテクとDX」「文化活動」の5つ。「文化活動」をテーマとした展示ではキュレーターが6か月間のプログラムを組んでおり、毎週または2週間ごとに文化イベントを催す。
「エネルギー転換、サステナビリティ、循環型経済」ではオランダで有名な風力発電、洋上風力発電についての展示をするほか、持続可能なエコな装置についての展示も行う予定。その1つが帯水層蓄熱システムだ。地下水を利用して夏は建物を冷却し、冬は夏の間に熱利用によって温まった水を暖房に用いるといったシステムだ。今回の万博会場でも導入予定となっている。文化活動以外のテーマではテーマウィークに沿ってオランダから専門家を呼ぶ予定となっており、グローバルな課題を皆で考えるきっかけにしたいという。入り口から入ってすぐのところにコモングラウンド広場があり、来場者が交流できる場となっている。全年齢に向けた展示を心掛けている今回のパビリオンでは、幅広い年齢層が交流し、グローバルな問題について一歩前進できることを期待したい。
学生取材班:人知遥(兵庫県立大学)