ZERIジャパン:パビリオンと水の循環

2025年の大阪・関西万博において、特に注目を集めるパビリオンの一つが「ブルーオーシャンドーム」だ。テーマは「海の蘇生」であり、地球や海に対する態度変容を起こすような圧倒的な表現装置を用意しているようだ。

今回私たち学生取材班は当パビリオンの立役者、ZERI ジャパン代表理事の更家悠介さんに話を聞くことができた。以下にインタビューで聞いたことをまとめた。

ブルーオーシャンドーム外観 ©ZERI Japan

ブルーオーシャンドームは外観からして今までの展示場と大きく違う点がある。それは竹や紙などを使っているところだ。メインの資材は炭素繊維強化プラスチックであり、耐久性は維持しつつも環境に配慮した設計となっている。万博終了後もすぐに廃棄するのではなく、再利用することが決まっているそうだ。展示内容だけでなく、展示場まで丸ごと環境に配慮したパビリオンと言えるだろう。

次にその内部を見ていこう。ブルーオーシャンドームは、ドームA・ドームB・ドームCの3つに分けられる。

ドームAでは「身近な存在である海についてどれくらいのことを知っていますか?」という問いかけが行われる。日本は四方を海に囲まれた土地で、世界の中でも海の存在が身近な国の一つだろう。そんな身近な海で、今深刻な問題が発生しているという。その一つが鉛直循環の鈍化だ。海は2000年をかけてゆっくりと循環していると言われているが、海水温の上昇や環境変化により、その循環が鈍化しているという。もし循環が止まってしまえば、海の栄養の偏りが発生し、ある地域からは生き物がいなくなるかもしれない。ドームAは、身近であるはずの海について分かっていることはごく一部であることを来場者に伝える。

ドームBについては「芸術的な映像表現」ということ以外、何もわからない。正確にいえば、行ってからのお楽しみ、と明かされなかった。取材者としては聞き出せなかったのは悔しいが、訪れた人々を圧倒する感動を約束してくれた。

ドームCは360度展示でビジネスで環境問題を解決する事を提示する。ここでは、海洋ごみの資源化や産業の構築、街づくりなどを紹介し、未利用魚の活用や今後のイノベーション技術にも焦点を当てる。ZERIジャパンの更家さんはビジネスを通して汚してしまった海はビジネスを通して綺麗にすべきだという考えを伝えてくれた。

ゼリ・ジャパン理事長の更家悠介氏

ZERIジャパンがブルーオーシャンドームの展示を通して伝えたいことは、海の偉大さであろう。私たちは太古の時代より、海に生かされ海と生きてきた。そんな身近な海について深く知る機会を当パビリオンは提供する。そして同時に、そんな海を少し気遣う機会も提供する。私たちに何ができるか、一度展示を見てしまったら他人ごとではいられない。インタビュー中に聞いた「見た責任」という言葉が心に深く刺さった。

学生取材班:吉田健太(京都大学)

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