被災地と未被災地をつなぐ　大切な人と地域を守るには

私は小学校3年生の時に岩手県釜石市で東日本大震災を経験しました。

震災当時、私自身は直接津波の被害にはあいませんでした。しかし祖父母の家が津波の被害に遭い、父親の安否が2週間取れない状況が続き、人の死を初めて実感しました。

高校に進学し、友人が講師を務めた防災授業で「あの日、私が海の近くにいたら、津波から生き延びられたのかな」という言葉にはっとしました。震災当時、津波防災教育を受けていなかった私は、海の近くにいたら生きていなかったかもしれないと気づいたのです。どこに住んでいても、自分の命と大切な人や場所を守れるようになるためには私自身が防災に取り組むことが重要であると考えました。

大学進学を機に移り住んだ静岡県は南海トラフ巨大地震で甚大な被害が想定されている地域です。大学では防災サークルに所属し、東日本大震災の経験を伝えることで、次に起こりうる災害への備えを呼び掛けたいと考えています。故郷である岩手県釜石市の認定する「大震災かまいしの伝承者」の資格も取得しました。

現在は小中高生、企業の方を対象に東日本大震災の伝承活動を行っています。震災を知らない世代が 増えていく中で、伝承活動を通じてどのようにして震災を自分ごととして感じてもらえるかが、今後 の活動の課題です。「伝承」を通じて災害から大切な人や地域を守れる人材を増やしていきたいと思います。

次のステップとして、自らが震災の出来事を伝えることに加えて防災に興味・関心のある高校生を中心とした若い世代と防災をテーマにして交流を図っていきたいと考えます。そして、若い世代を中心とした防災のネットワークを構築していきたいです。

災害が多く発生する日本が持続可能な社会を実現していくためには、防災についてみんなで考え発信していくことが重要です。万博が若い世代にとって持続可能な社会の在り方を考えるきっかけになることを願っています。

  震災伝承を通じて、大切な人や地域を守る種まきをしていきたい！