「万博発・企業の挑戦と進化 – 大阪リボーンチャレンジの成果とは –」

提供:大阪信用金庫

日本経済新聞社大阪本社が主催した「NEXT KANSAI フォーラム 2026」で2月17日、大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオン内に設けた「リボーンチャレンジ」に出展した中小企業3社の代表が登壇した。「リボーンチャレンジ」は大阪商工会議所と大阪信用金庫が共同で、中小企業の新技術を紹介する場として企画したブースだ。週替わりで432社が出展した。この中から、万博での挑戦を一過性で終わらせず、本業へとつなげた会社として、大阪信用金庫が3社をピックアップ。大阪ラセン管工業の小泉星児社長、プリマールの西陽介社長、ライトタッチテクノロジーの山川考一社長の3氏が、大阪・関西万博の成果などを語った。

万博発の極細金属製チューブを製品化 医療機器へ採用目指す

当社は、金属製のフレキシブルチューブとベローズ(蛇腹状のチューブ)の専門メーカーだ。万博では2つの製品を紹介した。

1つ目は医療領域に向けた、内径0.9mmの超極小径金属チューブ「ナノフレックス」だ。カテーテル治療で一般的に使用される樹脂チューブの代替など、医療機器への採用を目指していく。2つ目は、コンパクトに折りたためる金属製ベローズ「オリガミベローズ」だ。宇宙空間での活用を提案しており、輸送時の省スペースに貢献できる。会場では仮想現実(VR)を用いて、2製品の活用イメージを伝えた。

ナノフレックスは2026年1月に販売を開始した。万博発の技術を実製品として市場投入した初のケースとして、メディアにも多く取り上げられた。万博には誘致委員会の時から参加し、開催が決まれば中小企業にも発表の場が設けられると信じていた。出展が決まってからは、万博に間に合わせるために開発をスピードアップし、製品化までこぎつけることができた。万博出展の1年後となる2026年9月には、オリガミベローズの製品化も予定している。

化粧品の鮮度を保つ「脱酸素製法」を確立 技術ブランド化狙う

化粧品のODM(相手先ブランドでの設計・製造)に取り組む当社は、創業以来ユニークな化粧品開発を強みとしてきた。実績として「歌舞伎フェイスパック」は、伊勢志摩サミットでG7のファーストレディーたちにも使われた。

万博には化粧品関連企業4社と共同出展し、原料の色や香り、鮮度を保つ技術「脱酸素製法」を紹介した。酸化劣化により化粧品の色や香りが変わったり、ビタミンCなどの不安定な成分が安定的に配合できなかったりすることは、化粧品業界にとって大きな悩みだ。脱酸素製法は、製造工程から製品化までできるだけ酸素を入れないようにする技術だ。酸素に触れない容器を採用して、消費者の手に渡ってからも鮮度を維持できるようにする。

知的財産の確立にも積極的に取り組んでおり、特許取得と商標登録も済んでいる。目指すのは、脱酸素製法そのものをブランド化することだ。競争の激しい化粧品業界において、技術ブランドの確立は大きなアドバンテージになる。国内だけでなく海外でも、技術ブランドで挑戦したい。

脱酸素製法の技術としてはほぼ完成しており、万博後のBtoBの展示会では約100社から引き合いがあった。今後の課題は、認知拡大と市場展開だ。私たちは作るプロだが、売るプロではないため、販売やブランド展開を担うパートナーを求めている。

針を刺さない血糖値センサーを開発 糖尿病患者のQOL向上へ

当社は採血がいらない血糖値センサーの開発と事業化を進めている。長らくレーザー研究に携わってきた経験を生かし、2017年に創業した。きっかけは、1型糖尿病を患う子どものケアの負担を目の当たりにしたことだ。1日に何度も針を刺して血糖値を測らなければならず、患者自身はもちろん、家族もつらい思いをしている。

万博では採血がいらない血糖値センサーのコア技術を紹介した。中赤外線レーザーを用いて血中のグルコース(糖)を読み取り、高精度に血糖を測定することができる。指先をセンサーに5秒かざすだけで測定でき、針を使う従来の測定器と違って痛みなどの患者負担がなく、針などの医療廃棄物も出ないという特徴がある。

万博ではブースに訪れた患者女性が「ようやく痛い思いをしなくて済むようになるんですね」と涙ぐむ姿を見て、社会的意義を実感した。イギリスの著名なドクターからは、臨床研究への協力の申し出もあった。海外展開への足掛かりが得られたのは、万博の大きな収穫だ。国内では2026年から臨床試験を始める予定であり、データを集めて3年以内の製品化を目指す。将来的には端末をウェアラブル化して血糖値以外のバイタルも計測できるようにし、人工知能(AI)解析と組み合わせて疾病予防にも貢献したい。

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