【特集】未来はここから動き出す

2025年10月13日、閉幕を迎える大阪・関西万博。約半年にわたり、多様な文化や技術が交わる「未来社会の実験場」として世界各国の人々が集いにぎわった。万博には多くの学生も様々な形で参加した。日経BANPAKUレポーターとしてパビリオンなどを取材し、所属団体による取り組みを通じて万博を体験した3人の学生が、大阪・関西万博を振り返った。

【学生座談会】世界知り、価値観を更新

――今回の万博で印象に残った出来事を教えてください。

小原 各国のナショナルデーをサポートするボランティアスタッフとして参加しました。英語での案内や通訳として出演者と交流しましたが、異文化と直接触れ合う経験はとても強烈で貴重でした。

小寺 私の所属団体は日本文化を伝えるためのワークショップを開催しました。国内外の方、大人、子供、障害のある方などいろいろな人が参加される中、この多様な人たちと一緒に世界を創っているのだと体感できました。

人知 いくつかパビリオンを取材した中で、日本館が印象的でした。ちゃんと見る人に伝えようという意図を感じました。

大阪大学工学部4年 小原 賢慎さん

小原 確かに、私もその取材に参加していましたが、展示に関わった京都大学の先生の解説を聞きながら巡ったおかげで、日本について海外の人にどう伝えればよいのかヒントをもらった気がします。

人知 ほかのパビリオンを見る際も、どんな伝え方をしているのか、何を伝えたいのかをしっかり受け取ろうと思うようになりました。

小原 各国のナショナルデーをサポートするボランティアスタッフとして参加しました。英語での案内や通訳として出演者と交流しましたが、異文化と直接触れ合う経験はとても強烈で貴重でした。

小寺 私の所属団体は日本文化を伝えるためのワークショップを開催しました。国内外の方、大人、子供、障害のある方などいろいろな人が参加される中、この多様な人たちと一緒に世界を創っているのだと体感できました。

人知 いくつかパビリオンを取材した中で、日本館が印象的でした。ちゃんと見る人に伝えようという意図を感じました。

小原 確かに、私もその取材に参加していましたが、展示に関わった京都大学の先生の解説を聞きながら巡ったおかげで、日本について海外の人にどう伝えればよいのかヒントをもらった気がします。

人知 ほかのパビリオンを見る際も、どんな伝え方をしているのか、何を伝えたいのかをしっかり受け取ろうと思うようになりました。

大阪大学工学部4年 小原 賢慎さん

体験を子供たちに

――ほかに、展示や会場内で興味を持った点は?

立命館大学経営学部3年 小寺 沙朋さん

小寺 やはり大屋根リングは、何度見ても圧巻ですね。すべてのパビリオンを見渡せて、サウジアラビア館とオーストラリア館など、地理的に交わらない国が隣り合っている興味深い景色が見られます。オーストラリア館から流れてくる音楽にサウジアラビア館の人が体を揺らしている。そんな様子を見て、国境などが関係ない場所で、平和的な空間が広がっているのだなと思いました。そして、それらを包みこんでいる大屋根リングの壮大さを感じました。

小原 会場自体、本当に広いから、各所で行われていることを把握するのも大変。すべてを追いかけられないけど、それが面白いですよね。

人知 国内企業だとパソナ館が印象的でした。心筋シートや遠隔で操作できるロボットの展示は、自分が専攻している生命科学に関連していたのでとても興味深かったです。

小寺 そうですね、国内のパビリオンもバラエティー豊かでしたね。私が注目したのはシグネチャーパビリオンの「いのちの遊び場クラゲ館」です。創造性をもとにインクルーシブルな社会を育むことを目指していました。

小原 「いのちの未来」はアンドロイドと人間が共生する世界で、人間とは?と問いかけてくる。最も興味を引かれた展示でしたね。

小寺 やはり大屋根リングは、何度見ても圧巻ですね。すべてのパビリオンを見渡せて、サウジアラビア館とオーストラリア館など、地理的に交わらない国が隣り合っている興味深い景色が見られます。オーストラリア館から流れてくる音楽にサウジアラビア館の人が体を揺らしている。そんな様子を見て、国境などが関係ない場所で、平和的な空間が広がっているのだなと思いました。そして、それらを包みこんでいる大屋根リングの壮大さを感じました。

小原 会場自体、本当に広いから、各所で行われていることを把握するのも大変。すべてを追いかけられないけど、それが面白いですよね。

人知 国内企業だとパソナ館が印象的でした。心筋シートや遠隔で操作できるロボットの展示は、自分が専攻している生命科学に関連していたのでとても興味深かったです。

小寺 そうですね、国内のパビリオンもバラエティー豊かでしたね。私が注目したのはシグネチャーパビリオンの「いのちの遊び場クラゲ館」です。創造性をもとにインクルーシブルな社会を育むことを目指していました。

小原 「いのちの未来」はアンドロイドと人間が共生する世界で、人間とは?と問いかけてくる。最も興味を引かれた展示でしたね。

立命館大学経営学部3年 小寺 沙朋さん

――今回の万博を経て、それぞれあらためて見据える将来の目標を教えてください。

人知 私は教員免許取得を目指しているので、今回万博で体験したこと、世界を知ることの大切さや未来の可能性を子供たちに伝えたいですね。

小寺 海外のパビリオンの方々が生き生きと自国のことを話してくれました。私も日本が好きだからこそ、海外にももっと注目して、外交的であろうと思います。

小原 今回は万博を機に、海外から多くの方が来日し、私たちが世界を知るきっかけになりました。今度は日本から多くの若者が海外へ赴き、現地で交流してもっと価値観をバージョンアップする。そんな取り組みができないかと考えています。

兵庫県立大学理学部3年 人知 遥さん

大阪・関西万博を振り返って、テーマ事業プロデューサーの中島さち子氏と大阪パビリオン広報・催事課長の山縣敦子氏からコメントが寄せられた。


中島 さち子


2025年日本国際博覧会 テーマ事業プロデューサー
株式会社steAm代表取締役

つながりの種 世界中で咲かせたい

いのちの遊び場 クラゲ館は「創造性の民主化〜つくる喜びを全ての人に〜」をモットーに、多様ないのちが共にあり、共に創るいのち高まる未来社会の形を模索してきました。

お陰様で、障害や病気、文化や世代や国の違いを越え、400名ほどのボランティアや入院中の子供達と共に、約270のクラゲ館ワークショップや世界約40か国や日本各地と音楽・文化やものづくりの協奏、6000回ほどの生演奏(地下含む)を行ってきました。いのちパークでの国際交流「World Life Band」や世界遊び・学びサミット、ごみ祭りなどでも数千の仲間と奇跡のような協奏や対話を重ね、クラゲプロジェクトの”つくり手”は数万人。こうした多様ないのちの協奏は万博の反万博的本質であり、未来社会の希望の原型と感じています。

誰もが自分の手で未来のかけらをつくることができる。閉幕後も、万博で生まれたつながりの種を世界中で咲かせ、“クラゲ”の思想を継ぐミニクラゲの場を広げていきたいです。

中島 さち子


2025年日本国際博覧会
テーマ事業プロデューサー
株式会社steAm代表取締役

つながりの種 世界中で咲かせたい

いのちの遊び場 クラゲ館は「創造性の民主化〜つくる喜びを全ての人に〜」をモットーに、多様ないのちが共にあり、共に創るいのち高まる未来社会の形を模索してきました。

お陰様で、障害や病気、文化や世代や国の違いを越え、400名ほどのボランティアや入院中の子供達と共に、約270のクラゲ館ワークショップや世界約40か国や日本各地と音楽・文化やものづくりの協奏、6000回ほどの生演奏(地下含む)を行ってきました。いのちパークでの国際交流「World Life Band」や世界遊び・学びサミット、ごみ祭りなどでも数千の仲間と奇跡のような協奏や対話を重ね、クラゲプロジェクトの”つくり手”は数万人。こうした多様ないのちの協奏は万博の反万博的本質であり、未来社会の希望の原型と感じています。

誰もが自分の手で未来のかけらをつくることができる。閉幕後も、万博で生まれたつながりの種を世界中で咲かせ、“クラゲ”の思想を継ぐミニクラゲの場を広げていきたいです。

ⒸKURAGE Project & steAm, Inc.

共創の可能性 次世代の課題解決に

大阪ヘルスケアパビリオンの目玉「リボーン体験ルート」は、未来の自分と出会い、パーソナライズされたヘルスケア体験を通じて2050年の都市生活を疑似体験できるものでした。多くの体験者から、健康だけではなく、「自分を変える」一歩になったと反響をいただきました。

大阪府・市、協賛企業、協力機関が、産官学一体となって未来の健康を本気で考え抜いた展示です。この仕組みを日常的に受けられる社会を目指し取り組みたいと考えています。また中小企業やスタートアップによる「リボーンチャレンジ」には400社を超える参加がありました。どの出展者も、世界の課題解決に臨む気概にあふれ、実際に海外企業から協業の申し出があった例も。さらに、出展を通じて新たな企業間ネットワークが生まれ、今後も共創による可能性の広がりを感じます。

次世代を担う皆さんは、未来に不安を感じることがあるかもしれませんが、この万博で様々な事が実現できたように、多種多様な人が集まれば、必ず課題は解決できる。私はそう信じています。

山縣 敦子


2025年日本国際博覧会
大阪パビリオン広報・催事課長

山縣 敦子


2025年日本国際博覧会
大阪パビリオン広報・催事課長

共創の可能性 次世代の課題解決に

大阪ヘルスケアパビリオンの目玉「リボーン体験ルート」は、未来の自分と出会い、パーソナライズされたヘルスケア体験を通じて2050年の都市生活を疑似体験できるものでした。多くの体験者から、健康だけではなく、「自分を変える」一歩になったと反響をいただきました。

大阪府・市、協賛企業、協力機関が、産官学一体となって未来の健康を本気で考え抜いた展示です。この仕組みを日常的に受けられる社会を目指し取り組みたいと考えています。また中小企業やスタートアップによる「リボーンチャレンジ」には400社を超える参加がありました。どの出展者も、世界の課題解決に臨む気概にあふれ、実際に海外企業から協業の申し出があった例も。さらに、出展を通じて新たな企業間ネットワークが生まれ、今後も共創による可能性の広がりを感じます。

次世代を担う皆さんは、未来に不安を感じることがあるかもしれませんが、この万博で様々な事が実現できたように、多種多様な人が集まれば、必ず課題は解決できる。私はそう信じています。

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