大阪・関西万博開幕 未来社会を体感

「鳥の巣」のような外装デザインが特徴の大阪ヘルスケアパビリオン(イメージ)
提供(公社)大阪パビリオン

大阪・関西万博が4月13日、大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で開幕した。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに10月13日までの184日間開催される。会場中央を世界最大の木造建築となる大屋根リングが囲み、国内外の多彩なパビリオンが来場者を迎える。最先端の技術や多様な文化を体感できる機会に心が躍る。

大阪・関西万博が4月13日、大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で開幕した。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに10月13日までの184日間開催される。会場中央を世界最大の木造建築となる大屋根リングが囲み、国内外の多彩なパビリオンが来場者を迎える。最先端の技術や多様な文化を体感できる機会に心が躍る。

目玉パビリオンの一つが、大阪府・市など産官学民が一体となって出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」だ。iPS細胞由来の「心筋シート」など最先端の医療技術や未来の都市生活を体験できる。

ひときわ目を引く展示が、シャワーヘッド「ミラブル」で知られるサイエンス(大阪市)が開発したカプセル型浴槽「ミライ人間洗濯機」。ファインバブルという微細な泡で体を自動洗浄するだけでなく、背もたれの部分で脈拍を計測し、状態に合った音楽と映像を流して心の状態も整えるという。

娘の肌疾患を改善したいとの思いでシャワーヘッドの開発に取り組んだ青山恭明会長は、小学4年生の時に1970年大阪万博に出展されたウルトラソニックバス(通称:人間洗濯機)を見て衝撃を受けたという。「前回は普及しなかったが、今度こそ我々が社会実装させたい」と意気込む。

サイエンスが展示する「宇宙シャワー」(イメージ)

同社は、微小重力空間でも少量の水で体を洗えるカプセル型の「宇宙シャワー」も展示している。宇宙開発の未来に向けて、宇宙空間での生活の質向上に取り組む。

理美容機器メーカーのタカラベルモント(大阪市)は70年万博に引き続いて出展。今回は、「量子飛躍する美の世界へ」をコンセプトにした空間展示を行っている。計374個の多面体を組み合わせた壁面と展示物によって、見る方向によって見え方が変わる「クリスタル」を表現。来場者はデザインを通して「真の美しさ」について思いを巡らせるとともに、配布された「ビューティーカード」の2次元バーコードを読み込んで「美」に関する情報を得られる。

同社は、美容と医療が融合した「ミライのヘルスケアサロン」の構築や、宇宙での暮らし方について研究している。こうした事例も紹介しつつ、「宇宙時代の美」とは何かを問いかけるという。

広報室の石川由紀子氏は「万博は、ごく短期間で飛躍する量子飛躍の機会だ」と力を込める。前回の大阪万博参加後、理美容室椅子の国内シェア8割、取引先は120カ国以上に広がった。今回も同様の飛躍を目指す。

ミライ人間洗濯機


1970年の大阪万博で展示されたサンヨー館の「ウルトラソニックバス」の未来型として開発した。大阪・関西万博の期間中は、事前申し込み制で一般来場者が入浴体験できる。(写真はイメージ)

量子飛躍する美の世界


構造物を宇宙に運ぶために小さく折りたたんでロケットに載せる展開構造物に着想を得て制作した。デザイン・設計は、宇宙建築を研究している立命館大学政策科学部准教授で「ZERO GRAVITY DESIGN」代表の山出美弥氏が担当した。

量子飛躍する美の世界


構造物を宇宙に運ぶために小さく折りたたんでロケットに載せる展開構造物に着想を得て制作した。デザイン・設計は、宇宙建築を研究している立命館大学政策科学部准教授で「ZERO GRAVITY DESIGN」代表の山出美弥氏が担当した。

企業や団体が手がける13の民間パビリオンは、各事業者の理念が色濃く反映されている。

BLUE OCEAN DOME(イメージ) 提供:特定非営利活動法人ゼリ・ジャパン

海洋汚染の防止などに取り組むNPO法人ゼリ・ジャパン(東京・品川)のパビリオン「BLUE OCEAN DOME(ブルーオーシャンドーム)」は、「海の蘇生」がテーマだ。3つのドームが連なった建物が特徴的だ。

プラスチックごみによる汚染や生物の多様性について、巨大な球体スクリーンで映像を流すほか、地球上の水の循環を表現した装置の展示などがある。海洋の環境が危機にひんしているのを体感し、環境保護への行動や思いを育んでいくのが狙いだ。

エネルギーについてゲーム形式で学べるのは電気事業連合会の「電力館 可能性のタマゴたち」。タマゴ型デバイスを持って館内を巡りながら、核融合発電や振動力発電などの未来の新エネルギーを体感することができる。

一般社団法人日本ガス協会の「ガスパビリオン おばけワンダーランド」では、現実と仮想空間を融合するクロスリアリティー(XR)技術を活用。ゴーグルを着けた来場者がおばけに扮(ふん)してエネルギーの未来について考えていく仕立てだ。

エンタメ系も充実している。バンダイナムコホールディングスは実物大ガンダム像を設置。パビリオン内では〝新たな宇宙世紀〟〝モビルスーツと共存する未来〟を全身で感じられる。吉本興業ホールディングスは直径約20メートルの笑顔の球体を設置したパビリオンで笑いをテーマにしたコンテンツを提供している。

「よしもと waraii myraii館」の外観イメージ
©YOSHIMOTO
「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」の外観イメージ
©創通・サンライズ

150超の国と地域が参加しているのは大阪・関西万博の大きな魅力だ。各パビリオンは、自国の最新技術や文化、歴史を紹介したり、交流の場を設けたりしている。

「アルプスの少女ハイジ」がアンバサダーのスイスパビリオンでは、アニメの世界観を生かした展示やカフェも。AI・最先端技術を使用した常設展に加え、「人間拡張」「生命」「地球」のテーマが2カ月ごとに変わるテーマ展示やイベントも行う。

オランダパビリオンは建物の中心に大きな球体があり、持続的に利用可能なクリーンエネルギーと日の出を表現。内部は360度見渡せるスクリーンになっており、音と映像による没入体験が待ち受ける。

韓国館は、外壁一面に大型の発光ダイオード(LED)ディスプレーを設置し、韓国の文化や観光地などの映像を流す。館内では、来場者の声を人工知能(AI)で照明や音楽に変換する技術を披露する。

各国は、幅広いコンテンツを取り揃え、持続可能な未来社会に向けてメッセージを発信する。来場者は手軽に「世界旅行」を楽しみながら、見聞を広げられる貴重な機会になりそうだ。

スイスパビリオンのイメージ
©FDFA, Presence Switzerland
オランダパビリオンのイメージ
©AND BV & Plomp
韓国パビリオンのイメージ
©KOTRA

いのち輝く未来社会のデザイン

2025年大阪・関西万博は、1970年にアジアで初開催された日本万国博覧会(大阪万博=EXPO’70)、2005年の愛・地球博に続き、20年ぶりに日本で開催される国際博覧会。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、SDGs(持続可能な開発目標)および日本の国家戦略Society5.0の実現に貢献する万博を目指す。

● 開催期間:2025年4月13日(日) 2025年10月13日(月・祝)
● 開催場所:大阪 夢洲(ゆめしま)

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