学生が競い「未来社会」描く

日本経済新聞社は2月15日、持続可能な社会を実現するための取り組みやアイデアを競う「NIKKEI未来社会共創コンテスト」を大阪市の大阪本社で開催した。社会課題の解決に意欲のあるZ世代の学生ら78組の応募の中から、書類審査を通過した13の個人・団体が登壇。それぞれが大阪・関西万博のテーマでもある「いのち輝く未来社会のデザイン」を提示した。

コンテストに先立って日本経済新聞社は、Z世代の学生たちが情報発信するサイト「NIKKEI未来社会共創ENGINE」や、活動のブラッシュアップを図る連続講座「BANPAKUゼミ」などを実施してきた。コンテストでは受賞者に大阪・関西万博のテーマウィーク会場での発表機会を提供。万博を契機に学生たちが活動の幅を広げ、さまざまな人と共創するきっかけにしてもらうことを狙っている。

最終選考に進んだ13組の発表は、医療や防災、資源の保全など幅広い分野に及んだ。自身の悩みを機に考案したものや、各地域での気づきを基にたどり着いた課題解決策など、それぞれの思いを込めたアイデアを、審査員らにプレゼンした。

審査基準は①想い・理念②持続可能性③ソーシャルインパクト(社会への影響)の3点。審査員を務めた慶應義塾大学大学院教授の蟹江憲史氏、経済産業省イノベーション・環境局長の菊川人吾氏、トイトマ(神戸市)社長の山中哲男氏、一般社団法人ベンチャー型事業承継(東京・千代田)の山野千枝代表理事らは、学生たちと質疑応答しながら、評価を進めた。

審査員から各発表者に対してアドバイスも

最優秀賞に選ばれたのは、デジタル学生証で全国の学生をつなぐアプリを提案した「慶應義塾大学 2024塾生会議 環境3班」。社会課題に取り組む学生達の共創の仕組みづくりが評価され、賞金20万円が授与された。このほか奨励賞1組、協賛企業の「サイエンス賞」「タカラベルモント賞」が選出された。

最優秀賞慶應義塾大学 2024塾生会議 環境3班
デジタル学生証で全国の学生をつなぐアプリ
奨励賞Memorial Compass(メモリアル コンパス)
認知症予防のため、会話を人工知能(AI)でサポートするアプリ
サイエンス賞SkinNotes(スキンノーツ)
アトピー性皮膚炎の小学生向け、かゆみを抑える緑茶染めインナーシャツ
タカラベルモント賞SAFEID(セーフアイディー)
障害者がおしゃれを楽しめるえり型よだれ掛けなど
最終審査会場の様子
最優秀賞「慶應義塾大学 2024塾生会議 環境3班」
奨励賞「Memorial Compass」

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 教授
慶應義塾大学 SFC 研究所 xSDG・ラボ代表

蟹江 憲史氏

皆が優勝レベル


皆が優勝レベルの発表で、審査は非常に接戦だった。こうした機会にいろいろなパートナーを見つけることが大切だ。スポンサーとなってくれる人がいるかもしれないし、優れたアイデアを持っている人と協力できるかもしれない。コンテストが、皆さんの事業を発展させるためのステップになることを願っている。

日本の未来は明るい


社会課題に優劣はなく、それぞれが本当に大事だ。課題の本質を突き詰め、解決していこうとする皆さんの熱意と行動力に感動した。学生皆さんの発表を聞き、日本の未来は明るいと確信した。経済産業省のミッションは「未来に誇れる日本をつくる」。ぜひ皆さんと手を携え、前に進んでいきたい。

経済産業省 イノベーション・環境局長

菊川 人吾氏

経済産業省 イノベーション・環境局長

菊川 人吾氏

日本の未来は明るい


社会課題に優劣はなく、それぞれが本当に大事だ。課題の本質を突き詰め、解決していこうとする皆さんの熱意と行動力に感動した。学生皆さんの発表を聞き、日本の未来は明るいと確信した。経済産業省のミッションは「未来に誇れる日本をつくる」。ぜひ皆さんと手を携え、前に進んでいきたい。

トイトマ 代表取締役社長

山中 哲男氏

社会実装目指して


日本は課題先進国といわれるほど多くの課題がある。参加した学生たちの熱量は全員素晴らしかった。その熱量を絶やさず、社会実装に向けて一歩一歩進んでほしい。そのためには周りを巻き込み、つながりを増やし続けるのが重要だ。皆さんの事例が広がっていけば、これからの日本の未来は変わっていく。

真剣に応援を


全ての発表にアクションが伴っていて、そのアクションを積み重ねようとしていた。これだけの学生たちが、アイデアだけでなくすでに行動を起こしていることに感激した。産業界や我々の世代は、もっと真剣に学生たちの着眼点を受け止め、応援していかなければならないと思うきっかけになった。

ベンチャー型事業承継 代表理事

山野 千枝氏

ベンチャー型事業承継 代表理事

山野 千枝氏

真剣に応援を


全ての発表にアクションが伴っていて、そのアクションを積み重ねようとしていた。これだけの学生たちが、アイデアだけでなくすでに行動を起こしていることに感激した。産業界や我々の世代は、もっと真剣に学生たちの着眼点を受け止め、応援していかなければならないと思うきっかけになった。

コンテストでは、協賛企業2社も講演を行った。1970年の大阪万博の思い出や、大阪・関西万博に出展予定の展示内容などを紹介。宇宙で生活する未来に向けた挑戦について思いを語った。

サイエンスホールディングス 会長

青山 恭明氏

心身整える「ミライ人間洗濯機」


サイエンスは、大阪・関西万博で「ミライ人間洗濯機」を出展する。ファインバブルという微細な泡で体を自動洗浄するだけでなく、背もたれの部分で脈動を計測し、状態に合った音楽と映像を流して心の状態も整える。1970年の大阪万博で小学4年の時に見た「人間洗濯機」を今度こそ社会実装させたい。無重力状態でも少量の水で体を洗える「宇宙シャワー」も展示する。宇宙旅行の時代に向けて、生活の質を向上させる。これからも目の前の社会課題の解決にしっかりと取り組んでいきたい。

万博を飛躍の機会に


万博はごく短期間で飛躍する「量子飛躍」の機会だ。タカラベルモントは1970年の大阪万博への出展を経て、理美容椅子の国内シェアを拡大し、取引先は120カ国以上に広がった。大阪・関西万博でも次の飛躍を目指している。今回出展するのは、「2050年宇宙時代の美」を体感し考える展示だ。それはこれから当社が目指す、美容と医療が融合した「ミライのヘルスケアサロン」が叶える美の世界だ。ひとり一人が自分だけの「真の美」を見つけてもらいたい。当社は人間の根幹的な価値を考え続け、世界に挑戦していきたい。

タカラベルモント 広報室

石川 由紀子氏

タカラベルモント 広報室

石川 由紀子氏

万博を飛躍の機会に


万博はごく短期間で飛躍する「量子飛躍」の機会だ。タカラベルモントは1970年の大阪万博への出展を経て、理美容椅子の国内シェアを拡大し、取引先は120カ国以上に広がった。大阪・関西万博でも次の飛躍を目指している。今回出展するのは、「2050年宇宙時代の美」を体感し考える展示だ。それはこれから当社が目指す、美容と医療が融合した「ミライのヘルスケアサロン」が叶える美の世界だ。ひとり一人が自分だけの「真の美」を見つけてもらいたい。当社は人間の根幹的な価値を考え続け、世界に挑戦していきたい。

コンテスト後は、学生や審査員、ビジネスパーソンらが交流。所属や立場を超えて意見交換し、今後の共創に向けて新たな一歩を踏み出した。

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