【日経EXPOフォーラム】Z世代と考える未来社会 #2

 万博出展企業・団体とZ世代の若者たちによるセッションイベント日経EXPOフォーラム「Z世代と考える未来社会」が、2023年9月15日に大阪国際会議場で開催された。

 学生を中心に約400人が集まった主会場では、空飛ぶクルマに関する基調講演の後、立命館大学3年生の新谷夏樹氏と同志社大学3年生の金田祐紀氏が司会を務め、3つのテーマで未来共創セッションが進行。会場では聴講者からの質問や意見を登壇者がリアルタイムで取り上げるアプリ(Slido)を活用して、会場一体の活発なセッションが繰り広げられた。また、万博出展企業や海外パビリオン出展国の関係者、学生団体や大学、大阪府・市などがブース出展した別フロアでは、Z世代同士やZ世代と企業・団体が交流。万博への関心の深まりと機運の高まりが感じられた。

万博出展企業・団体とZ世代の若者たちによるセッションイベント日経EXPOフォーラム「Z世代と考える未来社会」が、2023年9月15日に大阪国際会議場で開催された。

 学生を中心に約400人が集まった主会場では、空飛ぶクルマに関する基調講演の後、立命館大学3年生の新谷夏樹氏と同志社大学3年生の金田祐紀氏が司会を務め、3つのテーマで未来共創セッションが進行。会場では聴講者からの質問や意見を登壇者がリアルタイムで取り上げるアプリ(Slido)を活用して、会場一体の活発なセッションが繰り広げられた。また、万博出展企業や海外パビリオン出展国の関係者、学生団体や大学、大阪府・市などがブース出展した別フロアでは、Z世代同士やZ世代と企業・団体が交流。万博への関心の深まりと機運の高まりが感じられた。

【未来共創セッション 1】万博を機に、企業とZ世代との共創の輪の広がりを期待

 未来共創セッション1では、サントリーホールディングスの前波美由紀氏、大阪調理製菓専門学校2年生の森茉奈美氏、同志社大学2年生の中図仁南氏が登壇。大阪商工会議所の玉川弘子氏がファシリテーターを務め、セッションが繰り広げられた。

 冒頭、前波氏から「水と生きる」をコーポレートメッセージに掲げる同社の企業活動を紹介。「水は飲料や酒類といったサントリー製品の最も重要な原料であり、企業活動の源泉です」と、水との関わりの深さを強調した。

 また、「良質な地下水はサントリーの生命線。人間が利用できる水の量には限りがあり、水循環を健全に回していくことが重要」とし、水循環の大切な要素である森の保全活動を国内外で展開していることや、次世代環境教育「水育(みずいく)」を推進していることなどを語った。

 さらに、ダイキン工業と共同で実施する2025年大阪・関西万博未来社会ショーケース事業「ウォータープラザ水上ショー(仮称)」にも触れ、「人と自然の未来に思いを馳せ、私たちの行動を変えるきっかけに」と呼びかけた。

 前波氏の話を受け、「“水のサントリー”と“空気のダイキン”との共創が印象的。世界各国の人たちがショーを通じて日本の自然を知るきっかけになってほしい」と中図氏。森氏は、「水によってお菓子の味も変わる。日本の豊かな水を使ったお菓子作りで、世界の人たちをもてなしたい」と抱負を語った。

 終盤の質疑応答では、「共創する仲間を増やす良い方法は」と前波氏からZ世代へ質問する場面も。中図氏、森氏とも「SNSなどでの認知と対面での対話が大切。思いのベクトルを共有することで前へ進んでいける」と自身の活動経験を踏まえて回答した。
 Slidoで寄せられた「学生との共創」についての質問に前波氏は、「ペットボトルの水平リサイクル活動の輪を広げていきたい。学生さんは仲間作りが得意なので」と回答。新たな共創の輪の広がりを予感させるセッションとなった。

【未来共創セッション 2】フェムテックで肝となるのはタブーやバイアスからの解放

 続いて、未来共創セッション2は、女性の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテックがテーマ。大阪へルスケアパビリオンに協賛する小林製薬の秋田理香子氏、京都大学4年生の藤森弥子氏、京都大学2年生の吉田健太氏がパネリストとして登壇し、大阪大学教授の杉田映理氏がファシリテーターを務めた。

 前半は、小林製薬の歴史やフェムテックへの取り組みに関する秋田氏のプレゼンテーションを中心に進行。日本初の総合婦人薬で元祖フェムテックとされる「命の母」、タブー視されていたおりものをTVCMで扱った「サラサーティ」、デリケートゾーンという言葉を生んだ「フェミニーナ」など、同社の代表的商品を例に挙げながら、フェムテックのパイオニアとしての歩みを紹介した。

 そのうえで、「フェムテックの肝は、タブーやバイアスからの解放。フェムテック元年と呼ばれる2020年を境に、女性が抱える健康課題や不安は、個人の問題から社会の問題へ、隠すものから声に出していいものへと変化しつつある」と秋田氏。また、未来のフェムテックについても「個人の感情が可視化できたり、天気のように自分の体調を予報してケアできるようになったりする」と語った。

 そして後半は、活発なセッションが展開。藤森氏は、「海外在住時にPMS(※)を経験しフェムテックに関心を持った。クローズドではなくオープンに話をする空気感を作っていくために、学びの機会や教材が増えれば」と自身の経験を基に意見を述べた。一方、「フェムテックについては男性が関わりにくいセンシティブな部分も多い。ただ、新しいモノや考え方がスムーズに受け入れられる万博の機会を通じて、自分も学びを深めながら広めていきたい」と吉田氏。

 会場からは、「セクハラとの線引きが難しい」「フェムテックの理解と必要性についてさらに広めてほしい」「Z世代の視点で商品開発に関わりたい」といった意見も寄せられるなど、関心の高さがうかがえた。

※ PMS=Premenstrual Syndrome(月経前症候群)。月経前の3~10日間に起こる、精神的あるいは身体的な不調

【未来共創セッション 3】Z世代とのコラボレーションで“可能性のタマゴ”を磨く

 最後となる未来共創セッション3には、国内電力大手10社で構成される電気事業連合会の岡田康伸氏、大阪大学2年生の中島正裕氏、京都大学4年生の渡部遥斗氏、ファシリテーターとして大阪大学2025年日本国際博覧会推進室副室長の新藤一彦氏が登壇。冒頭、ミャクミャクのTシャツを着た新藤氏が思い出やエピソードなど万博愛あふれる話を披露し、登壇者と聴講者が聞き入った。

 その後、「娘と息子がZ世代なので、皆さんと対話できることを楽しみにしていた」と岡田氏が挨拶し、「電力館の取組みの現状~Z世代とのコラボレーションに向けて~」をテーマにセッションが進行。電気事業連合会の成り立ちや過去の万博出展実績などを紹介しつつ、2025年大阪・関西万博で出展するパビリオン「電力館」について、取り組みの現状や企画のイメージなどを熱っぽく語った。

 また、「電力館は『可能性のタマゴ』がコンセプト。まさに『可能性のタマゴ』であるZ世代の皆さんとコラボレートしながら、会場運営や屋外ステージ企画などを進めていきたい」と、Z世代との共創推進を強調。意見や提案を求めた。これに対し渡部氏は、「エネルギーの課題は、まず知ることが大事。知る場として、万博での電力館出展は意義深い。エネルギーといえば堅いイメージを抱きがちだが、日本がエネルギー強者といわれるような未来を具体的に示せれば、人は集まるのではないか」と提案。中島氏は「我々Z世代の意見やアイデアを聞いてもらえることは、とても嬉しくワクワクする。コラボレーションやコ・クリエーションは、凸と凹がくっつくようなイメージ。同じパッションや目的意識を共有すること、全てを自分でやろうとしないことが大切だと思う」と意見を語った。

 最後に、「電力館の仲間として参加してもらえるような価値を創り発信していくので、よろしくお願いします」と岡田氏が呼びかけると、会場のZ世代は大きな拍手で応えた。

※本記事は日本経済新聞朝刊に掲載されたものを引用しています。

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