日本経済新聞社大阪本社が主催した「NEXT KANSAI フォーラム 2026」で2月18日、長谷工コーポレーションの澤瀬一徳・HMB運営部兼商品企画室統括部長は万博から始まる未来の住まいへの取り組みについて講演した。

1937年、兵庫県尼崎市で長谷川工務店として誕生した当社は、まもなく創業90年を迎える。2025年末にはマンションの累計施工戸数が72万戸を突破。グループ全体ではマンション事業にとどまらず戸建て、オフィスサービス、人材派遣、インテリア、介護施設事業なども展開。住まいを軸に人々の「人生全体をプロデュースする」企業グループへと、事業の幅を広げている。

大阪・関西万博では、石黒浩プロデューサーによるシグネチャーパビリオン「いのちの未来」をプラチナパートナーとして協賛した。万博のレガシーについては、同館で展示されたアンドロイドのうち3体を、長谷工マンションミュージアム(東京都多摩市)で展示する予定だ。未来の住まいについて思いをはせてもらえるよう、人とロボットの共生などについて深く掘り下げる場としたい。
また、万博をきっかけに石黒氏らと共同で未来の住まいを創造する「ivi house (アイヴィハウス)」プロジェクトを立ち上げた。東京都杉並区に建設した建物は「生きている家」をコンセプトに、人と人、人と家が調和・共鳴し合う未来の住まいを具現化している。たとえば各所に設置した人感センサーで自動的に照明がゆっくり点灯したり、時間帯によって音響や灯りの照度が変化したりする。また“角”のない曲線的な室内デザインで人と空間が調和し、外の自然とのつながりも感じられる設計になっている。実験的な取り組みだが、このプロジェクトを今後の住まいづくりに生かしていきたい。
マンション事業では多様化する家族構成やライフスタイルに合わせ、柔軟にカスタマイズできる仕組みを取り入れている。具体的には、クローゼットが動いて部屋や収納スペースの広さを調整できる間取り可変システム「UGOCLO(ウゴクロ)」や、これまでの収納の概念を覆し、自由な発想で空間を使える間取り「Be-Fit(ビーフィット)」を導入した物件がある。ほかにも、お客様から「あったらいいな」を聞き、実際に商品化した「U’s-style(ユーズスタイル)」というシリーズもある。

一方、SDGsについてはグループで「大切な暮らしを、もっと、ずっと。」というビジョンを掲げ、「住んでいたい空間」「働いていたい場所」「大切にしたい風景」「信頼される組織風土」という4つのテーマで取り組んでいる。
気候変動への対応では、2030年度までに温室効果ガス排出量をScope1(事業者自らによる直接排出)とScope2(他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)で42%、Scope3(原材料調達や物流、販売、製品使用、廃棄などを含む、Scope1・2以外の間接排出)で13%削減する目標を立て、達成を目指している。
その一環として建設現場で使用する電力の100%再エネ化を実現したほか、工事車両の電動化も推進。CO2排出を約20%削減し、建物の全部位に採用可能な環境配慮型コンクリートの使用も拡大させている。ほかにも杭打ちで発生する建設汚泥を、竹チップを用いて固化処理する技術を福岡大学と共同開発。セメント系固化剤の削減でCO2排出量削減につなげ、竹害問題の解決にも貢献する。
また新たな取り組みとして、国産スギを活用した新たな木質建材「HSウッド」を開発。自社で製造工場を建設し、2028年4月から本格稼働を始める。これにより、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減が見込まれるほか、国産材の活用による炭素貯蔵効果も期待される。国産材を適正価格で安定的に供給することを目指し、WOOD FRIENDS社を長谷工グループに迎え入れ、木材利用を加速化する取り組みも進めており、建築における木造化・木質化にも注力していく。

未来の都市や生活はどのように進化していくのか。当社では「思いを、はせる。」のブランドメッセージのとおり、これからの住まいを考え続けていきたい。
