日本経済新聞社大阪本社は2月17日、大阪市のハービスホールで学生向けの新たなワークショップを開催した。テーマは「社会課題にどう向き合い、どう伝えるか〜日経記者と学ぶ取材・記事のイロハ」。大学生を中心に30人強が参加し、取材や原稿を書くうえでの基本を学んだ。

「ポスト万博」をともに描く
日経大阪本社は2025年大阪・関西万博にあわせ、学生が実際に取材したり発信したりする機会を提供してきた。「ポスト万博」を学生らと一緒になって描くことを目的に、これまでの取り組みをリニューアルし「NEXT KANSAI フォーラム 2026」事業を開始。今回のワークショップはこの事業の一環との位置付けだ。
ワークショップはまず、講師役の日経の山田宏逸・大阪本社代表室次長が取材先と丁寧に向き合う大切さ、ニュースは何かを考え続ける重要さなどを説いた。原稿を書くという工程に関しても「自分ではない人や企業を主語にし、読者に伝えるという行為は、重さと怖さの両方の上で成り立っている」と強調した。
学生たちはこの後、模擬的な取材を体験した。理美容機器および歯科・医療機器メーカーのタカラベルモント(大阪市)が協力し、「万博で使ったユニホームを全国の学校50校に寄贈する」という同社の発表内容を題材にした。取材対応は広報部の石川由紀子氏、桝井貞次氏が担った。


学生は2グループに分かれて両氏に質問し、学校への寄贈の狙いなどについて取材した。
タカラベルモントは万博期間中、大阪ヘルスケアパビリオン内で「量子飛躍する美の世界」を展示した。ユニホームのデザインはコシノジュンコさんが担った。1970年の万博でもコシノさんがユニホームをデザインした経緯がある。
桝井氏はユニホームのデザインに込めた主要コンセプトが近未来だった点などに触れ「宇宙で人が生活する時代を見据えながら、改めて『美』を考えるきっかけにしてほしい」。学校への寄贈への思いを語った。石川氏は「教育教材として活用してもらうことが、万博のレガシー(遺産)になる」と話した。

「正解」のない課題
ワークショップで次に待っていたのは、取材の成果を原稿にしてみるという作業だった。「どのような見出しが最適か」「150字程度で最初のパラグラフをつくる」という課題に学生たちが向き合った。山田次長らはサポート役に回った。

タカラベルモント側の説明を十二分に理解できたか。同社が考える「美」について限られた時間のなかで深く取材できたか。そもそも学校に寄贈するという一報自体、世の中でほとんど知られていない「ニュース」なのではないか――。学生たちは一連の取材成果のどの部分を優先して伝えるべきか試行錯誤しながら、「容易に正解が見つからない課題」に最後まで取り組んだ。
ワークショップに参加した神戸大学3年の森下日菜子さんは「伝えるべき相手を意識し、付加価値を考えて書く大切さを学んだ」と振り返った。大阪大学2年の神藤彩耶さんは「自分の興味関心だけではなく、多角的な視点を持つようにしていきたい」と語った。

