日本経済新聞社は7月12日、Z世代の学生団体計7チームが社会課題解決に向けた実践を発表する催しを大阪・関西万博のフューチャーライフヴィレッジで開催した。
環境や共生社会など多彩なテーマについて、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」について、それぞれが志す姿を示した。共創する関係者と登壇したり、ゲームを駆使したりと、各団体が個性を発揮した。

社会課題の解決や大阪・関西万博に向けて取り組む学生や学生団体が、企業などと共に持続可能な社会づくりについて考える連続講座「日経未来社会共創ゼミ」の一環で開いた。
人口流出に歯止めを
■登壇者■(敬称略)
【Ambition Ayne Connection】森井権、森井愛子
【森町役場】原田龍一(録画出演)
【エッジソン・マネジメント協会】年光邦夫
学生団体Ambition Ayne Connection(アンビション・アイネ・コネクション、愛称:あんこね)は、地方から都市部への人口流出問題に取り組む。北海道森町と連携し、若者を呼び込む様々な施策を打ち出している。
プログラミングコンテストで地元企業と学生を結びつけたり、大都市圏での移住促進イベントに参加して森町の魅力を伝えたりする企画を紹介した。
あんこねの森井権さんは「失敗から学び、行動し続けることで共創が生まれてきた」と活動を振り返る。森井愛子さんは「誰もが自分の居場所を持ち、自分らしく最大限活躍できる社会を実現したい」と抱負を語った。

障害者自立支援×廃校の活用×一次産業の人手不足解消
■登壇者■(敬称略)
【Ctiy Circle】市丸裕也
【株式会社Pivot】一柳泰造
【エッジソン・マネジメント協会】年光邦夫
学生団体City Circle(シティー・サイクル)は、廃棄物の回収や障害者の就労支援を手掛けるPivot(ピヴォット、北九州市、一柳泰造社長)と連携し、廃校を活用して障害者とトラウトサーモンの陸上養殖を行うプロジェクトを立ち上げた。
魚の養殖で収益を確保し、障害者の工賃を向上して自立を支援する。一次産業の人手不足の課題解決に貢献するとともに、少子高齢化で増加する廃校の活用モデルを構築していく考えだ。
同社の一柳社長は「このモデルを確立できれば全国に展開できる」と意義を説く。シティー・サイクルの市丸裕也さん(北九州市立大学)は「経験豊富な社会人と、柔軟な発想を持つ若者が素直な気持ちで向き合い、思いを重ねるのが大切だ。これからの新たな福祉と新たな一次産業を切り開いていきたい」と意欲を示した。

放置竹林への対策に奮闘
■登壇者■(敬称略)
【Bamboo Bridge】堀健人、川邊菜帆心、坪根祥太郎、山本 樹生
【NPO法人京都発・竹・流域環境ネット】仲一朔、物部瑳也
【京都市役所洛西支所】池島博幸
学生団体Bamboo Bridge(バンブーブリッジ)は、管理されなくなった竹林が土砂災害や獣害につながる放置竹林問題の解決に向けて活動する。
共創しているNPO法人京都発・竹・流域環境ネットや京都市役所の関係者と共に登壇。京都西山エリアで、地域の放置竹林を活用した竹灯篭のイベント「京都西山竹あかり〜幻想夜2024〜」を協働で開催した。約150人のボランティアと共に竹灯篭を制作する過程や、幻想的なライトアップを通して、竹の魅力や放置竹林問題への理解を促した。
バンブーブリッジの堀健人さん(関西学院大学)は、活動のポイントとして「自分事として捉えてもらえるようにするのが大切」と強調した。

福島復興支援の手法が社会課題解決の手段に
■登壇者■(敬称略)
【大阪大学福島県復興支援サークルはまでいず】小原賢慎、崎本知郷、石川爽
【大阪大学大学院】関根かれん、大原理彩子
大阪大学の学生が中心になって運営する福島県復興支援サークルはまでいずは、東日本大震災で原発事故があった福島県の復興支援活動を踏まえ、社会課題を解決していくための要点を示した。
サークルに所属していない学生や、大阪大学以外の学生とも連携して活動する。登壇者たちは、それぞれが専門分野を生かし、幅広い取り組みが自身の成長につながっていると説明した。
はまでいずの小原賢慎さんは「福島で同じ経験をしても、ぞれぞれの視点やビジョンは違い、新たな気づきや成長につながっている。異なる背景を持つ人たちが集まり、議論や行動することこそが社会課題の解決に必要だ」と力説した。

紙飛行機で共生社会を推進
■登壇者■(敬称略)
【おりがみ】山岸荘汰
【OH!万博 副代表】吉永葉月
【くしもり!】庄野葉月
【学生音楽クリエイター】片方優
【おりがみ】髙本晴香
学生団体おりがみは、「世界の誰かに届けたいあなたの大切にしている言葉」を書いた紙を見せている写真と、その紙を紙飛行機にして飛ばす動画を募集し、さまざまな場所で上映している。
多様な価値観や思いを集めてお互いの違いを知り、人種や言語、宗教などの壁を超えてつながる「共生社会」を推進するのが目的だ。関東を中心に約80大学400人の学生と共に活動し、世界約30カ国から400本以上の動画が集まったという。
おりがみ代表の山岸荘汰さん(千葉大学大学院)は「地方から全国へ、そして世界へと活動を広げていきたい」と語り、最後は会場の参加者と共に紙飛行機を飛ばした。

コミュニケーションスタイルの築き方提案
■登壇者■(敬称略)
【立命館万博学生委員会おおきに コミュニケーション班CWA】
立命館大学の学生でつくる「立命館万博学生委員会おおきに コミュニケーション班CWA」は、SNSの普及や世代間ギャップで起こるコミュニケーションのすれ違いについて、対策を提案した。
登壇者たちは、児童小説『不思議の国のアリス』の世界観を取り入れながら来場者とやり取りし、楽しみながら理解を深められるように工夫した。
相手の立場に立ったり、相手の価値観を想像したりしながら対話する重要性を、寸劇やクイズ形式で体感できる。ジェスチャーや身振り手振りについて、浦底ゆいさんは「自分らしいコミュニケーションスタイルを新たに見いだせる」と活用を呼びかけた。

ゲームで植物由来食品の魅力体験
■登壇者■(敬称略)
【立命館万博学生委員会おおきに 食班SusTable】
「立命館万博学生委員会おおきに 食班SusTable(サステイブル)」は、より多くの人と食卓を囲み、おいしさや楽しさを共有していく手段として、プラントベースフード(植物由来食品)に着目する。
ヴィーガン(完全菜食主義者)や宗教上の理由による食の制限にも対応でき、家畜に比べて二酸化炭素(CO2)の排出や水の消費量が抑えられる。植物性食品を使った料理の魅力を伝えるオリジナルボードゲーム「グルメクエスト」の体験会も実施し、来場者たちは楽しみながら知見を広げた。
岡美月さんは「今回のプレゼンやゲームを通して、より多くの人と一緒に食卓を囲めるような未来を前向きに想像してもらえると嬉しい」と話した。

日本経済新聞社大阪・関西万博室は、日経未来社会共創ゼミの一環で、フューチャーライフヴィレッジでの発表会を9月27日にも開催する予定。万博来場者は、予約なしで見学できる。
