日本経済新聞社は8月19日、大学生と高校生がハンガリーの文化や社会課題への対策を学ぶ催しを大阪・関西万博のハンガリー館で開催した。参加者は、伝統を大切にすることや少子化対策について理解を深め、国家間で共創する重要性を実感していた。
持続可能な社会づくりに取り組むZ世代の若者に学びや交流の場を設ける連続講座「日経未来社会共創ゼミ」の一環で企画した。

伝統の力引き出す
ハンガリー館は「過去なくして未来なし」をテーマに掲げ、民族音楽や伝統的な食文化の魅力を発信している。
館内に入ると、ガラスのアート作品が並ぶ通路を通り、ほの暗いドーム型のシアターで民族音楽を鑑賞する。純白の衣装をまとったプロの歌手の歌声を間近で聞くことができるのが特徴で、SNSでも話題になっているコンテンツだ。
在大阪ハンガリー領事館のケレケシュ・アンドラーシュ館長は、パビリオン運営の目的について「ハンガリーのイメージを構築する国家ブランディングの貴重な機会だ」と説明した。
最先端技術の展示や体験が注目されがちな万博の中で、伝統文化の力を効果的に伝え、来館者の好意的なイメージの構築につながっているという。

文化で価値観を共有
学生たちは、ハンガリーの伝統的な料理を提供する併設レストラン「ミシュカ キッチン&バー」も訪問した。
ヴィダーク・ゾルターン総料理長が、牛肉と野菜の煮込み料理「グヤーシュ」や、クレープ生地で肉の煮込みを包んだ「ホルトバージ・パラチンタ」を振る舞った。いずれもパプリカをふんだんに使っているのが特徴で、「日本料理でカツオで出汁を取るように、ハンガリーではパプリカで旨みを出す」と説明した。
参加者たちは、肉料理や前菜、粉末状のパプリカを試食し、食文化の奥深さを体感した。
ハンガリーに関心があったという中林樹里さん(神戸大学2年)は「伝統を大切にする姿に感銘を受けた。日本人と同じ感性があるのを感じた」と話し、国家間の相互理解に価値観の共有が役立つのを実感していた。

経済連携に意欲
ビジネス交流を促すエリアでは、ケレケシュ氏がハンガリーの魅力を伝え、日本との経済連携の強化に意欲を示した。
ハンガリーはヨーロッパの中央に位置し、国土の真ん中をドナウ川が縦断する。肥沃な土地が広がり、農産物が強みになっているという。
観光面では、歴史的な建物が並ぶ首都ブダペストをはじめ、380カ所以上あるという温泉施設が人気で「ぜひ訪ねてほしい」と呼びかけた。

社会課題の対策議論
学生たちが関心を持つ社会課題について、ハンガリーの取り組みを学ぶプログラムでは、積極的な意見交換がなされた。
ケレケシュ氏は、日本で深刻な問題となっている少子化対策について「ハンガリーでは、2人以上の子どもを育てている母親の所得税を生涯免除するなど、手厚い支援を行なっている」と説明し、多様な打開策を打ち出す必要性を示した。
日本での外国人労働者の増加について、異文化コミュニケーションのあり方を参加者間で議論するワークショップも実施し、学生たちがそれぞれの考えを発表した。

国際協力の意義に気づき
ハンガリー館の関係者と参加者の交流も促した。ハンガリーの菓子をつまみながら、学生たちが関心のある点を質問する姿も見られた。
田爪翔さん(関西学院大学2年)はハンガリー館について大学の新聞で記事にするといい、「遠い国でも同じ問題で対策を講じていた。国際協力をしながら知見を共有し、お互いをより良くしていく共創が大事だ」と語った。

