万博会場の西ゲートからさらに西へ歩くと、「未来の都市」パビリオンが見えてくる。建物の全体が白く輝いており、入り口の前には子どもづれなど多くの人が並んでいる。今回、私は学生取材班として、同パビリオンを訪れた。

Society 5.0と幸せな未来
パビリオンの中に入るとまず目に入ってくるのは、Society 1.0からSociety 5.0に至る人類の生活の進化の軌跡をたどり、幸せな社会について考える展示だ。小学生の来場者にとっては、Society 5.0は学校で習ったり、聞いたりしたことがあるテーマだという。説明文の漢字の読み仮名表記や展示の高さも、子どもたちの目線を意識して作られている。2035年などという遠すぎない未来の姿を描くことで、子どもたちの心を掴んでいる。

パビリオンの2つの目的
未来の都市の展示には、大きく分けて2つの目的がある。
1つ目は、技術の社会実装を後押しすることだ。館内では数々の未来技術が展示され、その多くは一筋縄ではいかない挑戦を秘めている。なぜなら、それらの技術は、企業単独では実現が困難なほど大規模であったり、長年培われてきた既存の権益との齟齬を生んだり、さらには社会のシステムやインフラの大規模な再構築を必要とするからだ。技術はあっても、現実社会で日の目を見るのは難しい……そんなジレンマを抱えるケースも少なくない。
しかし、大阪・関西万博は違う。万博は、「ゼロから未来を創造できる」唯一無二の舞台だ。既存の枠組みにとらわれず、新しい社会システムやインフラを仮設的に構築し、未来の技術がどのように機能するかを具体的に披露できる場なのだ。私たちは最前線の技術を目の当たりにできるだろう。

2つ目は未来について深く考察する機会を与えることである。未来の都市パビリオンでは、多岐にわたる未来の可能性が紹介されている。これらは、単なる未来のシナリオや先進技術の提示に留まらない。すでに実現している技術から、これから社会実装に向けて動き出すものまで様々である。注目すべきは、その中には、一見非常に便利ではあるが、必ずしも人間的な「幸せ」に繋がらないかもしれない未来の可能性についても言及されている点である。普段生活している中であまり意識することのない未来。未来の都市の課題解決に来場者が参加し、選択によって未来が変わる双方向型の展示もある。数々のシナリオの中から、「こんな未来が来たらいいな」「こんな社会で暮らしたい」、逆に、「便利ではあるけど、こんな未来は嫌だ」と来場者一人ひとりが抱く気持ちが、明日の未来を創造していく原動力となる。未来は決して他人事ではないのだ。私たちの未来は、私たち自身が選択し、築き上げていく。
学生取材班:吉田健太(京都大学)