大阪・夢洲で大阪・関西万博が開かれている。シグネチャーパビリオンの1つ「いのちの遊び場 クラゲ館」を訪れ、プロデューサーである中島さち子さんにお話を伺った。
クラゲ館は「いのちを高める」をテーマとしている。「プレイマウンテン」の緩やかな坂を登ると、私たちを大きなクラゲのオブジェが迎える。このクラゲはガーナのゴミで作られたものであり、真下に行くとピアノ演奏が聴こえる。演奏にはガーナに対する想いが詰まっているという。
また、真ん中には「創造の木」がそびえ立つ。創造の木の周りには楽器ともおもちゃとも言える不思議なものが並んでいる。触ると光ったり、音が鳴ったりと楽しいものが多く、いのちあるもののようにも感じられ、知的好奇心をくすぐるものばかりだ。創造の木の下にある「いのちの根っこ」と呼ばれる地下空間へ行くと、360度のモニターで国内外の様々なお祭りを映像と音で体感できる。

クラゲ館は「創造の民主化」を目標に掲げている。中島さんによると、創造のきっかけになるものが遊びであり、遊ぶ中で自由に触れて考え創造することにより文化・未来を作るという。創造する上で大事なことは、どんなものを作りたいか想像し、試行錯誤を繰り返すことだ。「初めから成功する必要は全くなく、どんどんチャレンジすることが大事だ」と中島さんは話す。
「クラゲ館には他のどのパビリオンよりも多様な人が関わっている」と中島さん。クラゲ館の多様さはクラゲバンドやクラゲ館で働く人々を見るとよく分かる。スタッフやバンドメンバーは国の違いや、障がいの壁を超えて集まっており、一人一人が笑顔いっぱいであることが印象的だ。それぞれの立場にいるからこそ見える景色・価値観があり、交わることで新たなワクワクが生まれる。「創造と多様性を掛け合わせる未来のモデルを示せたら」と中島さんは笑顔で語った。
クラゲ館を訪れ、中島さんへインタビューする中で、「創造×多様性」という視点でモノを見ることは、よりよい社会を築く上で素晴らしい考え方だと感じた。「いのちを高める」というテーマがどういうことなのか言葉にするには難しく、説明が容易ではない。しかし「ワクワク」を感じ、何かしらの気づきを得たなら、いのちは少しでも高まったと言えるだろう。当たり前を見つめなおし、より良い未来を創造できるように、日々「遊び」ながら生きていきたい。

学生取材班:小寺沙朋(立命館大学)