日本経済新聞社は5月20日、大阪・関西万博内のテーマウィークスタジオで、社会イノベーションフォーラム「未来をまもる・つくる・つなぐテクノロジー」を開催した。安心・安全に資するインフラ・建築・素材技術を通じて、次世代の暮らしをどのように発展させていくかについて議論。建築と先進テクノロジーを融合した持続可能なインフラ構築に向けた取り組みを情報発信した。

基調講演では、永山祐子建築設計の永山祐子取締役が、2021年10月から6カ月間開催されたドバイ万博の日本館で使用した組子ファサードを、大阪・関西万博のウーマンズ パビリオンで再利用した取り組みなどについて話した。

続く企業講演では、染めQテクノロジィの菱木貞夫社長が「大改修時代の今こそ、インフラの未来を守る革新技術が不可欠だ」と訴え、建造物の再生や延命に寄与する新素材と新工法を開発・提供してきた経緯を説明した。またパネルディスカッションでは、菱木氏と、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」でスマートインフラマネジメントシステムの構築に取り組む木村嘉富氏が、老朽化が進む国内インフラの危機的状況への対応について、それぞれの考えを披露。木村氏は「今ある機能を補修して守り、ネットワーク化していくことが重要だ」と語り、菱木氏は「自社開発した技術を活用・普及させていく」と述べた。

午後のパネルディスカッションは「未来をつむぐ大阪・関西万博のパビリオン」をテーマに行われた。大林組理事大阪企画部の赤松真弥部長と乃村工藝社クリエイティブ本部未来創造研究所ビジョンデザイン部の山口茜部長が、それぞれ大阪・関西万博で携わったパビリオンでの取り組みを紹介。サーキュラーエコノミー(循環経済)に向けた挑戦や施工の工夫、建築と空間デザインの融合などについて説明した。モデレーターの永山氏を含む参加者は「万博のパビリオンは先進技術とパッションをつぎ込んだチャレンジの結晶。来場者はそのチャレンジを感じ取っていってほしい」との意見で一致した。

最後に企業講演を行ったオイレス工業の増田耕一執行役員は、地震大国日本で免震テクノロジーによって建物や橋梁などを守ってきたパイオニアとしての活動について紹介した。
