社会課題に取り組む学生に専門家が助言 「日経BANPAKUゼミ」開講

日本経済新聞社は6月28日、Z世代の学生向けの連続講座「日経BANPAKUゼミ」を大阪本社(大阪市)で開講した。 

ゼミには、大阪・関西万博や社会課題解決に向けて活動する学生団体のメンバーら約70人が登録。理想の未来社会を実現していくために必要な力を身に付けようと集まった。 

「日経BANPAKUゼミ」に参加した学生とアドバイザーの皆さん 

強みや弱みの気づきを

「Z世代との共創」を提唱している日本経済新聞社の大阪・関西万博室が、次世代を担う若者たちが活躍できる環境を提供しようとこのゼミを企画した。 

新規事業開発などの専門家らがアドバイザーとなり、学生たちの活動のブラッシュアップや課題解決につなげる。 

2024年12月までに計6回実施。初回のこの日は、登録者のうち35人の学生が出席した。 

開講に合わせてあいさつした楢崎健次郎室長は「皆さんは何かを動かそうとされている。そのために強みや弱みについて気づきを得る場にしてほしい」と激励した。 

第1回のゼミの内容を図示した「ファシリテーション・グラフィック」 

学生3団体が発表

第1回のゼミでは、地方創生や探究学習支援に取り組む横田アソシエイツ(東京・中央)の横田浩一代表取締役と、新規事業開発支援を手掛けるトイトマ(東京・品川)の山中哲男社長がアドバイザーを担当した。 

プレゼンテーションに挑んだのは学生3団体。資金調達や事業展開の手法を課題として挙げ、アドバイザーらは新たな市場の切り開き方などを助言した。 

その後、参加者たちは3、4人ごとに分かれてグループワークに臨み、発表内容をブラッシュアップする方法について議論した。 

学生に助言をする横田氏(左から2人目) 

新しい防災文化創造へ

最初に発表した学生団体OLEA(オレア)は、災害が多発する日本で「防災意識があっても行動を起こせていない層がいる」という問題意識から活動を始めたという。防災グッズにメッセージカードをつけ、プレゼントとして販売する取り組みを紹介し、「新しい防災文化を創造したい」と力を込めた。 

アドバイザーの横田氏は「消費者だけでなく、行政を対象にしても良いのでは」と助言。OLEAの福本雄大さん(同志社大学4年)は「盲点だった。仮説と検証を繰り返し、人も資金も持続的に展開していけるようにしたい」と意欲を示した。 

新しい防災文化の創造を目指すOLEAのメンバー 

熱意ある社員を増やす

NPO法人ドットジェイピー(東京・千代田)の若月拓海さん(京都産業大学3年)は、「日本では熱意を持って働いている人が少ない」と問題提起。「社会を変えようとする人材であふれる社会にしたい」と、学生たちと政治を結ぶイベントなどを紹介した。 

横田氏の「企業向けに社員研修をやるのも良いのでは」との指摘を受け、若月さんは「これまでなかった視点。新しい風を吹かせたい」と応じた。 

社会を変える人材の育成に取り組むドットジェイピーの若月さん 

「没入型」で夢育む

学生団体Imakuri projectは「若者が夢を大きく描き、イノベーションを起こせる社会をつくりたい」という理念を掲げ、小中学生向けに想像力や挑戦心を育成する教育プログラムを開発している。映像を投影するプロジェクションマッピングを活用した「没入型」の探究学習について説明した。 

メンバーに入ったばかりという嶝口陽己さん(同志社大学2年)は「たくさんの刺激をいただいた。知名度を上げ、共感してくれる人を増やしていきたい」と話した。 

探究学習の手法を示したImakuri projectのメンバー 

「相手が喜ぶ」を考える

3団体共通の課題だった資金調達について、アドバイザーの山中社長は「相手が喜んでくれることが何かを考え、提供していく必要がある」と指摘。今後の勉強会などを通して「皆さんの思いやアイデアを社会にしっかり実装し、未来につながるようにしていきたい」と抱負を語った。 

このほか、日本経済新聞社の記者による大阪・関西万博の最新情報の紹介や、終了後は学生とビジネスパーソンの交流会があり、共創に向けて理解を深め合っていた。 

第2回は7月26日に大阪本社で開く。

学生たちの熱気に満ちた会場 

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